有機薄膜太陽電池デバイスの光電エネルギー変換プロセス(出所:筑波大学)
有機薄膜太陽電池デバイスの光電エネルギー変換プロセス(出所:筑波大学)
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 筑波大学は8月20日、有機薄膜太陽電池の「電荷生成効率」の絶対値を決定する方法を確立したと発表した。電荷生成効率とは、「一個の光子から電子が生成する確率」で、これまで、この物理量の絶対値を評価できなかった。新手法により、高効率な太陽電池材料のスクリーニングが可能になるとともに、有機系太陽電池のエネルギー変換プロセスが明らかになることが期待されるという。

 筑波大学・数理物質系の守友浩教授と、物質・材料研究機構・太陽光発電材料ユニットの安田剛主任研究員らの研究グループによる成果。超高速分光と電気化学ドーピングを組み合わせることにより、電荷生成効率の絶対値を決定する方法を見出した。

 有機薄膜太陽電池は、エネルギー変換効率が11%を超える報告もあり、次世代太陽電池として期待されている。このタイプの太陽電池内部では、太陽光が入射すると、励起子の生成、分子界面での電荷生成、集電極へ電荷移動といった複雑なプロセスで光が電気エネルギーに変換されている。しかし、こうした素過程を定量的に分離できなかった。同研究グループは、超高速分光と電気化学ドーピングを組み合わせることにより、分子界面での電荷生成に対応する電荷生成効率を定量的に評価することに成功した。

 今後、この評価法を活用して、有機薄膜太陽電池のエネルギー変換機構を解明し、高効率の有機太陽電池の開発に取り組む。