発売した「GTS-7000」(研究用)と試薬キット
発売した「GTS-7000」(研究用)と試薬キット
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 島津製作所は2014年8月27日、ごく微量の血液から遺伝子型を迅速に判定できるシステムを発売した(リリース製品紹介ページ)。個別化医療の実現に向けて、個々人の遺伝子と薬効、疾患の関連を研究する用途などに向ける。

 発売した「GTS-7000」(研究用)は、(1)最大96検体を一度に分析できるサーマルサイクラー、(2)遺伝子型判定に特化した解析ソフトウエア、(3)確認したい遺伝子をユーザーが設定できる試薬キットから成る。遺伝子型は、解析ソフトウエアによって自動で判定され、96検体分の分析データと遺伝子型を同一画面に表示可能だ。

全血から測定でき、作業時間は従来比1/6

 試薬には独自の血液直接PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)技術を適用しており、全血から直接、遺伝子型を判定できる。試料を装置にかけるまでの作業時間は約5分で、血液からのDNA精製が必要な従来法に比べて1/6に短縮した。しかも分析に必要な血液量は1μlと微量なため、患者に与える負担を低減できる。

 価格は611万5200円(税別、解析ソフトウエアと測定48回分の試薬キットを含み、PCは含まない)。試薬キットの価格は、測定48回分で11万5200円(税別)。

 近年、個々人の遺伝子型に基づいて最適な医薬品の選択や投与量の調節、発症の予防を行う個別化医療の研究が進んでいる。これに伴い、自社ラボで遺伝子型判定を行いたいというニーズが高まっているという。島津製作所はこうした声を受け、生物材料から直接PCRを行える試薬技術と分析機器という得意技術を組み合わせて、今回のシステムを開発した。

 今後は、医薬品の効果や最適投薬量を事前に予測するための、薬物代謝酵素の遺伝子型判定に使う検査キットのラインナップを拡充する。加えて、質量分析装置を用いて投薬量を最適に管理する、体内濃度モニタリング法と連携させる。これにより、投薬治療に必要な診療情報を統合的に管理できる環境を整える考え。