年間の新規設備導入量(出所:「固定価格買取制度2年の成果と自然エネルギー政策の課題」2014年8月、自然エネルギー財団)
年間の新規設備導入量(出所:「固定価格買取制度2年の成果と自然エネルギー政策の課題」2014年8月、自然エネルギー財団)
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10kW未満の太陽光発電の発電単価と電力10社の平均電灯料金(出所:「固定価格買取制度2年の成果と自然エネルギー政策の課題」2014年8月、自然エネルギー財団)
10kW未満の太陽光発電の発電単価と電力10社の平均電灯料金(出所:「固定価格買取制度2年の成果と自然エネルギー政策の課題」2014年8月、自然エネルギー財団)
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 自然エネルギー財団(東京都港区)は2014年8月19日、「固定価格買取制度2年の成果と自然エネルギー政策の課題」と題したディスカッション・ペーパーを公表した。それによると、「2013年度の国内の太陽光発電投資による雇用創出効果は28.1万人」「住宅用太陽光発電の発電単価は、2016年には家庭用電気料金よりも安くなる可能性がある」などと分析している。

 同ペーパーは、固定価格買取制度(FIT)によって、再生可能エネルギーの本格的な導入が始まったと評価。発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は、水力を除いても、2014年4~5月には4%を超え、電力供給の一翼を担うまでに存在感を増したとする。

 FITによる買取費用は2013年度に5792億円となり、「こうした費用面だけを取り上げる議論もあるが、同時に様々な社会的経済的な便益をもたらしたことに着目すべき」とし、同年度の再エネ導入に伴う火力燃料費削減効果は2325億~3257億円、CO2削減効果は738万~1234万t、雇用創出効果は28.1万人に達すると分析した。

 また、2013年度における太陽光発電システムの初期導入費用は、10kW~50kW未満の住宅用で1kW当たり40万円弱、1MW以上で同約30万円となり、2010年度と比較できる住宅用については30%以上下がった。住宅用に関しては、こうした下落傾向が続けば、2016年には平均電灯料金よりも安くなる可能性があるという。

 今後の課題としては、太陽光の設備認定が6304万kW(2014年3月末時点)と大量になったことから、「過去の買取価格に基づく認定案件が大量に長期間、残留することで、実際の費用低下が賦課金の増加抑制につながらないことが懸念される」と指摘する。