2013年に日本国内で設立された電力事業者は1799社に。前年比で2.2倍、2011年に比べて26.4倍と急増した(出所:東京商工リサーチ)
2013年に日本国内で設立された電力事業者は1799社に。前年比で2.2倍、2011年に比べて26.4倍と急増した(出所:東京商工リサーチ)
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少額の資本金で設立した法人が多い(出所:東京商工リサーチ)
少額の資本金で設立した法人が多い(出所:東京商工リサーチ)
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地域別では関東が約5割に達し、メガソーラーの集積する九州も約17%と多い(出所:東京商工リサーチ)
地域別では関東が約5割に達し、メガソーラーの集積する九州も約17%と多い(出所:東京商工リサーチ)
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2010年以降に届け出のあったPPSが約4割に(出所:東京商工リサーチ)
2010年以降に届け出のあったPPSが約4割に(出所:東京商工リサーチ)
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 東京商工リサーチは8月13日、2013年に日本国内で設立された法人のうち、電力事業者が1799社になったと発表した。2012年の811社に比べて2.2倍、2011年の68社に比べて26.4倍と急増した。

 2011年3月の福島第一原発の事故以降の需給逼迫や、2012年7月に始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を機に、発電などを目的にした法人の設立が相次いでいる。

 2013年に新設された電力事業者1799社のうち、利用エネルギー別では、主な事業内容を「太陽光、ソーラー」関連とした法人が1213社(構成比:67.4%)と圧倒的に多い。 次いで「風力」が223社(同12.3%)、「水力」が74社(同4.1%)、「地熱」が66社(同3.6%)と続いた。

 この順位は、FITに基づくエネルギー別の発電設備の2014年4月末時点での認定件数(関連記事)の順位とほぼ一致しており、FITの開始に伴って参入事業者が増えたことがうかがえる。

 資本金別では、「1千万円未満」が1501社(構成比:83.4%)と8割以上を占め、1億円以上は18社(同1.0%)にとどまった。少額の資本金で設立した法人が目立ち、参入障壁は比較的低いといえる。2012年に比べて、100万円未満が前年比208.2%増の 746社、100万円以上500万円未満が同133.0%増の585社と増加率が突出している。

 本社の所在地別では、関東が859社(構成比:47.7%)で約5割を占め、このうち東京が579社に達した。地域的には関東、なかでも東京都に集中した。次いで、九州が305社(同16.9%)、近畿が156社(同8.6%)、中部が131社(同7.2%)と続いた。

 九州では、日照条件の良さと遊休地の多さから、メガソーラー(大規模太陽光発電所)が集積し、出力容量で全国の約3割を占めている。増減率ではすべての地域で前年を上回り、全国で広がりを見せている。

 都道府県別では、東京都が579社(構成比:32.1%)となり、次いで、大阪府が71社(同3.9%)、福岡県が61社(同3.3%)、鹿児島県が56社(同3.1%)、群馬県が55社(同3.0%)と続く。最も少なかったのは福井県の1社、次いで、鳥取県が2社、新潟県と富山県が5社、滋賀県が7社と続き、9県が10社未満となった。

 前年に比べると、41都道府県が増加した。このうち、34都道府県で2倍以上となった。減少したのは、新潟県、鳥取県、三重県、秋田県の4県で、同数は福井県、島根県となった。

 電力の小売自由化に伴って事業が可能となった特定規模電気事業者(PPS)も、増加する傾向にある。

 2014年8月4日時点で、資源エネルギー庁に届け出たPPSは313社となっている。設立年代別では、2010年以降が117社(構成比:37.3%)で最多となった。次いで、2000年代が85社(同27.1%)と、業歴が15年未満の事業者が全体の6割以上を占めた。

 地域別では、関東が151社(構成比:48.2%)とトップに立ち、以下、近畿が36社(同11.5%)、中部と九州が31社(同9.9%)と続く。大都市圏を所在地とする事業者が多い中、電力事業者の新設法人と同じように、九州の比率が高い。
 
 PPSの主要業種を分類すると、電気業は64社(構成比20.4%)にとどまった。メーカーから小売業まで多岐に渡り、8割が異業種から新規参入している。中でも、主要事業を機械器具販売や建設業とする企業からの参入が比較的多い。