富士フイルムは、ブラジルにおける「日本式大腸がん検診システム」の普及推進に関して、東京医科歯科大学およびサンパウロ大学付属病院と基本合意を交わした(リリース)。3者が協力して、ブラジルにおける同システムの普及と人材育成を推進する。

 日本式大腸がん検診システムとは、被験者に便潜血検査を行い、陽性反応を示した被験者に大腸の内視鏡検査を行うというもの。日本の医療機関はこの方法について多くの経験とノウハウを持つという。

 今回の提携では、大腸の検査に使う内視鏡を富士フイルムがサンパウロ大学付属病院など、現地の医療機関に提供する。東京医科歯科大は、サンパウロ大学付属病院などが設置した研修センターで、現地の医師を対象にトレーニングを行う。拡大内視鏡や特殊光診断技術といった、日本で行われている早期がん診断能力向上のためのトレーニングを提供する。

 新興国では、がんによる死亡率の増加が大きな問題となっている。中でも、生活水準の向上や食生活の変化を背景に、大腸がんが顕著に増えているという。中南米で最も人口が多いブラジルにおいても、大腸がんの罹患者が増えており、検診による早期発見が喫緊の課題となっている。

 富士フイルムと東京医科歯科大、サンパウロ大学付属病院などは2013年から、日本式大腸がん検診システムをブラジルで普及させるための実証調査を、経済産業省の支援を受けて進めてきた。その結果、同システムの有用性を確認できたことから、今後の提携に至った。