東芝三菱電機産業システム(TMEIC)のスマートPVの仕組み(出所:日経BP)
東芝三菱電機産業システム(TMEIC)のスマートPVの仕組み(出所:日経BP)
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シャープの展示する「クラウド蓄電池」(出所:日経BP)
シャープの展示する「クラウド蓄電池」(出所:日経BP)
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 太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの展示会「PVJapan2014」が、7月30日~8月1日まで、東京ビッグサイトで開かれ、太陽光発電に蓄電池を組み合わせ、天気に合わせて最適制御する次世代型のシステムの提案が目立った。

 東芝三菱電機産業システム(TMEIC)は、メガソーラー(大規模太陽光発電所)で、パワーコンディショナー(PCS)と蓄電池を最適制御することで、急峻な出力変動を抑制する「スマートPV」と呼ぶ技術を出展した。

 北海道では、電力系統の容量が相対的に小さいなかで、変動の大きいメガソーラーの連系が急増し、太陽光発電の急峻な出力変動が電力系統に与える影響が問題になっている。

 TMEICは、メガソーラーに導入した複数のPCSを統合的に制御して売電量を最大化する「メイン・サイト・コントローラ(MSC)」というシステムをすでに開発している。今回展示した「スマートPV」では、MSCと大型蓄電池を統合制御することで、急激な出力変動を抑制する。急な出力上昇時にはMSCで出力を抑制し、急な出力低下時には蓄電池が放電して、出力を平滑化する。MSCを活用することで蓄電池だけで出力を平滑化する場合に比べて、必要な蓄電池容量を半分程度に減らせるので、初期の設備費用を抑えられる。

 北海道電力では、メガソーラーの出力変化率を、発電所の定格出力に対し1分間に1%以内にすることを求めている。MSCと蓄電池を組みわせたスマートPVを使えば、5MWのメガソーラーの場合、約2.5MWの蓄電池を導入すれば、この変化率を達成できるという。

 一方、シャープは7月に発売を開始した「クラウド蓄電池システム」を展示ブースのメインに据えた。同社のクラウドHEMS(住宅エネルギー管理システム)、太陽光発電システムと組み合わせて使う。通常、太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせる場合、料金単価の安い深夜に充電し、太陽光の発電量の少ない朝晩にタイマーで放電させる運用パターンが多い。

 クラウド蓄電池の場合、クラウドを通じて天気予報の情報を入手して翌日の太陽光の発電状況を予測し、予想発電量の少ない日には料金単価の高い昼にも放電して買電量を抑えるなどの運用を自動的に行う。2016年以降、電力小売りが全面自由化された場合、住宅向けの電力料金も頻繁に変動することが予想される。クラウド蓄電池を導入していれば、事前に料金単価の情報を入手し、電力コストが最も安くなるように最適に充放電制御する計画という。