東芝は2014年7月31日、有機薄膜太陽電池(OPV)の5cm角のモジュールで変換効率9.9%を達成したと発表した。この大きさのモジュールでの値としては世界最高水準。1cm角のセルの変換効率は11.2%だった。

 東芝は2012年9月に、5cm角のOPVモジュールで変換効率7.7%、セル変換効率9.2%を達成している。今回、東芝は独自に開発した長波長の光に対応したp型有機半導体材料を改良。加えて、逆構造と呼ばれる構造も採用した。

 製造プロセスは、2012年9月当時と同じ「メニスカス塗布法」を用いた。ただし、今回は素子の最適構造を調べるシミュレーション技術と組み合わせることで、形状因子(FF)の値を高めることに成功した。それらが今回のモジュールでの高い変換効率の実現につながったとする。

 東芝はこれらは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「太陽光発電システム次世代高性能技術開発」の成果だとする。ただし、NEDOの同事業はOPVに対する2015年までの開発目標として、「30cm角程度の大型モジュールで変換効率10%以上」とかなり高い値を掲げている。