群馬県北部の募集エリアを大きく2つに分けた(出所:東京電力)
群馬県北部の募集エリアを大きく2つに分けた(出所:東京電力)
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すでに稼働した群馬県中之条町のメガソーラー(出所:日経BP社)
すでに稼働した群馬県中之条町のメガソーラー(出所:日経BP社)
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 東京電力は7月24日、群馬県北部エリアでの再生可能エネルギー発電設備の電力系統への連系に際し、入札を実施すると発表した。系統の送電容量を増やす工事に使う負担金の単価を入札し、高額入札者から系統への接続権が与えられる仕組み。

 同エリアは、固定価格買取制度(FIT)の導入により、太陽光発電設備の連系希望が急増し、同エリアから首都圏に送電する15万4000Vの送電線「上越幹線」の送電容量が不足する見込みだ。いまの制度では、最初に送電容量を超えた発電事業者が、送電容量を増やす対策工事をいったん全額負担し、その後、3年以内にその電力系統に連系する発電事業者にも、対策工事の費用を按分して負担してもらう仕組みになっている。

 この仕組みでは、大規模な対策工事が必要になる場合、最初に送電容量を超過する発電事業者の初期費用の負担が大きく、最終的に按分される割合が不透明なため、事業性を見通せないという課題があった。

 入札の募集は、こうした問題点を打開するための試験的な取り組みという。群馬県北部エリアを「群馬県北部再エネ等募集エリア」に設定し、系統連系の希望者を対象に「上越幹線」の送電容量対策工事の費用を分担して負担する事業者を入札で募集する。7月30日と31日に同社群馬支店で、事前説明会を開き、8月1日から応募を受け付ける。

 募集条件と募集規模によって、エリアを2つに分けた。「エリア1」は上越幹線などの増強工事に27億円以上の費用が見込まれ、増強すれば20万kW(200MW) の連系が可能になる。従って、入札負担金は1kW当たり1万3500円以上を条件とした。ちなみに20万kWのエリア1内での地域別内訳は、上の図中、1-1(みなかみ町)6万kW、1-2(沼田市の一部、川湯村)7万kW、1-3(渋川市の一部、中之条町、東吾妻町、高山村)3万kW、1-4(沼田市、渋川市、昭和村)4万kWとなっている。

 また、「エリア2」(前橋市の一部)は、6万6000Vの開閉器の設置工事に1億1000万円以上の費用が見込まれ、この対策により11万kW(110MW)の連系が可能になる。従って、入札負担金は1kW当たり1000円以上を条件とした。

 入札の結果、負担金単価の高額入札者から系統への接続権が与えられる。入札状況を踏まえて再接続検討・検討結果の回答を経て、再接続検討回答に同意した応募者の入札負担金が、工事に必要な費用を上回った場合、入札募集が成立する。予定では2015年2月には、落札者が決定する。

 群馬県北部のように送電線容量対策の必要性が顕在化しているエリアは全国的にも多く、初期の工事費負担を嫌って、連系希望者同士が膠着状態になり、送電容量の増強が進まないという弊害も見られる。東電の入札制度が成功すれば、今後、ほかの電力会社にも同様の制度が広がる可能性もある。