シャープは7月11日、欧州の太陽光発電事業から撤退し、同地域における太陽光関連事業の構造改革を実施すると発表した。合弁会社を通じて、薄膜太陽電池の生産・販売事業を継続しつつも、メガソーラー(大規模太陽光発電所)のEPC(設計・調達・施工)サービス事業を強化することで、収益改善に取り組む。

 シャープは2010年にイタリアのエネルグリーンパワー社(EGP社)などと薄膜太陽電池の合弁生産会社3Sun S.r.l.を設立し、製品の一部を購入する長期契約を結んでいた。だが、結晶シリコン型太陽電池の市況下落などによって、薄膜太陽電池を購入しても収益が確保できないと判断し、シャープがEGPに「対価」を支払うことを条件に、EGPに購入権を譲渡する。形式的には、EGPがシャープの購入分を再引受する。シャープは、薄膜太陽電池の製造合弁会社3Sun S.r.l.への出資は継続し、生産事業には参画する。

 一方で、シャープは、欧州における太陽光発電事業(太陽光発電所を開発・保有し売電する事業)を手掛ける合弁会社、ESSE(Enel Green Power & Sharp Solar EnergyS.r.l.)を、EGPとともに設立していた。シャープグループが保有する出資持分は50%で、この出資分を、EGPへの薄膜太陽電池の購入権譲渡の「対価」として充当した。これに伴う損失は、2015年3月期連結決算の第1四半期で143億8200万円の特別損失を計上する。これにより、シャープは、欧州における太陽光発電事業からは撤退することになった。