EV用パワーコンディショナ「SMART V2H」(出所:三菱電機)
EV用パワーコンディショナ「SMART V2H」(出所:三菱電機)
[画像のクリックで拡大表示]

 三菱電機は7月31日から、電気自動車(EV)と太陽光発電システム(PV)、商用電力の3種の電力を組み合わせて制御するEV用パワーコンディショナー(PCS )を世界で初めて試験販売すると発表した。

 商品名は「SMART V2H」で、EVに搭載した蓄電池の充放電、太陽光発電、商用電力の利用を最適化する。電力の利用目的に合わせて「グリーンモード」「エコノミーモード」「自立運転モード」という3通りの運転を制御できる。「グリーンモード」は太陽光で発電した電力を家庭で最大限に使う運転方法で、日中に余った太陽光発電はEVに充電して夜間や早朝に使用する。昼夜を通して太陽光発電やEV充電で足りない分を電力会社から購入する。「エコノミーモード」は余った太陽光発電はすべて電力会社へ売電し、夜間は割安な商用電力をEVに充電する。

 「自立運転モード」は、停電時にEV に貯めた電力を家庭内に給電する。これまでのEV充放電システムは、停電時にEVから家庭に給電できても同時に太陽光からEVへの充電はできなかった。今回、新たに「自立運転時PV連携技術」を搭載したことで、3つの電力を連携させつつ利用できるようになった。停電が継続した場合も、太陽光から家庭内への給電とEV への充電、EV から家庭内への給電ができる。

 三菱電機は、2012年5月から同社情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)に設置した「大船スマートハウス」で、EV、太陽光発電、商用電力の連携に関する実証実験を進めてきた。新開発のPCSは定格出力6kW。昼間に家庭内で使う電力を太陽光から給電し、余った電力だけを売電する「余剰買取単価対応機」(2014年度の買取価格37円/kWh)と、昼間に家庭内で使う電力をEVから給電し、太陽光で発電した電力をなるべく多く売電する「ダブル発電単価対応機」(2014年度の買取価格30円/kWh)の2機種があり、希望小売価格はいずれも98万円(次世代自動車充電インフラ整備促進事業による補助金対象機種として申請中)。試験販売開始時点で制御対象になるEVは日産自動車「リーフ」で、順次、三菱自動車「i-MiEV」へも広げていく。