水素の様々な製造方法(出所:資源エネルギー庁)
水素の様々な製造方法(出所:資源エネルギー庁)
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 経産省が設置した水素・燃料電池戦略協議会(座長・柏木孝夫東京工業大学特命教授)は6月23日、「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を公表した。ロードマップは、燃料電池などを活用した水素利活用技術の導入を3段階に分け、それぞれの目標を設定した。

 2025年頃までのフェーズ1は「水素利用の飛躍的な拡大期」と位置付けた。家庭用燃料電池の普及目標を2020年に140万台、2030年に530万台、燃料電池自動車向けの水素供給スタンドを2015年に100カ所と設定した。また、市場投入の時期について、燃料電池自動車は2015年、燃料電池バスは2016年、SOFC(固体酸化物型)による業務・産業用燃料電池システムは2017年とする目標を掲げた。

 2020年代半ば~2030年頃のフェーズ2は「水素発電の本格導入と大規模な水素供給システムの確立期」と位置付けた。海外からの水素価格30円/m3程度、商業ベースでの国内での水素流通網拡大、海外での未利用エネルギー由来の水素製造・輸送・貯蔵の本格化、発電事業用の水素発電の本格化などを目標に掲げた。

 2040年頃からのフェーズ3は「トータルでのCO2フリー水素供給システムの確立期」と位置付けた。CO2の回収・貯留(CCS)や国内外の再生可能エネルギーとの組み合わせによるCO2を排出しない水素の製造・輸送・貯蔵の本格化を目標に設定した。そのための技術実証課題として、風力・太陽光発電の出力変動に応じて、安価で、安定的、かつ高効率な水電解技術、それを活用した風力・太陽光発電の時間的、地理的な偏在性を吸収するシステムを実証することを掲げた。