ソフトバンクグループの電力小売りの仕組み(出所:SBパワー)
ソフトバンクグループの電力小売りの仕組み(出所:SBパワー)
[画像のクリックで拡大表示]

 ソフトバンクグループのSBパワー(東京都港区)とソフトバンクテレコム(東京都港区)は、7月1日から法人向けの電力小売り事業を開始すると発表した。SBパワーが新電力(PPS)として、再生可能エネルギー由来電力を中心に、沖縄と北海道を除く全国から電力を調達し、法人顧客に供給する。電力の調達先は、SBエナジー(東京都港区)の運営するメガソーラー(大規模太陽光発電所)などが主体となる。関東エリアから販売を開始し、以後、東北エリアをはじめ、順次拡大する予定。初年度に200~300件の顧客を開拓する。

 ソフトバンクテレコムとSBパワーは、電力の販売・買取に関する業務委託契約を結ぶ。ソフトバンクテレコムはSBパワーに代わり、電力販売の営業と料金徴収業務などを担うとともに、分散電源を持つ法人から電力を買い取る。ソフトバンクテレコムが従来から提供しているネットワークサービスやクラウドコンピューティングサービスなどの法人向けソリューションと電力販売を組み合わせて提案する。

 SBエナジーは、6月13日現在、全国12サイトで出力69.1MW分のメガソーラー(大規模太陽光発電所)を建設し、稼働している。2015年度までには、他社との共同事業も含め、メガソーラーと風力発電で292.1MW分の発電施設が稼働する予定だ。SBパワーは、こうしたSBエナジーの運営・出資する再生可能エネルギー発電所の電力に加え、バイオマスや地熱など他の再生可能エネルギー発電事業者からも電力を調達する。

 新電力は、一般電気事業者の送配電網を使って電気を託送するため、需要と供給の誤差を30分ごとに3%内に調整する必要がある。SBパワーは、この調整電源として、天然ガス火力発電所の電力を活用する。このため電源構成は、再生可能エネルギーを主体に残りはガス火力となり、石炭火力と原子力を含まない。CO2排出を抑えた「クリーンな電気」であることをアピールする。また、顧客ごとに最適な電力使用のシミュレーションを実施し、提案することで企業の電力コストの低減につなげる。