組織委員会委員長の山地憲治・東京大学名誉教授(出所:日経BP)
組織委員会委員長の山地憲治・東京大学名誉教授(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]
組織委員会共同委員長の黒川浩助・東京工業大学特任教授(出所:日経BP)
組織委員会共同委員長の黒川浩助・東京工業大学特任教授(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

 再生可能エネルギー2014国際会議組織委員会(委員長:山地憲治・東京大学名誉教授)は6月27日、記者会見を開き、7月27日~8月1日に都内で開催する「グランド再生可能エネルギー2014国際会議」の概要を公表した。同会議は、再生可能エネルギーに関する先端技術の研鑽を目的に、国内外から技術者が集まり、研究・開発の成果を発表、議論する。2006年の第1回以来、4年に1回開催し、今年で3回目となる。

 太陽光、風力、バイオマスなど12分野ごとにセッションを設け、最新の技術成果を発表する。12分野には主要な再生可能エネルギーのほか、「政策・統合概念」「エネルギーグリッド・パワエレ」「水素・燃料電池」など、再生可能エネルギー促進政策や送電網との連系、貯蔵も含めたエネルギーシステムなども含まれている。

 ポスターセッションを含め、60カ国から900件以上の発表を予定している。国別の大まかな内訳は、日本550件、韓国40件、中国と英国がそれぞれ30件、タイと米国、ドイツがそれぞれ約20件など。分野の大まかな内訳は、風力200件、海洋エネルギー150件、太陽光120件などとなっている。

 今回の特徴は、東日本大震災と福島原発事故の教訓を踏まえ、復興プロジェクトを世界に発信することが挙げられる。福島県沖での浮体式洋上風力、産業技術総合研究所・福島再生可能エネルギー研究所が取り組む太陽電池の低コスト化の研究や水素貯蔵システムなどに注目が集まりそうだ。8月1日には「福島ワークセッション」を設け、福島県が掲げた「2040年に再生可能エネルギー100%」ビジョンを達成するため、福島県内4大学と産総研が進めている共同プロジェクトについて、説明することになっている。

 加えて、山地委員長は、「固定価格買取制度による太陽光発電の設備認定が6000万kW以上に急増したことで、今後、国民負担の軽減と、電力系統の安定化が大きな課題になる。国際会議での各国からの成果発表が、こうした国内の再生可能エネルギー政策、系統対策の議論にもたいへん参考になる」と話している。

 また、共同委員長の黒川浩助・東京工業大学特任教授は、「大量の再生可能エネルギーを活用するには、太陽光とともに地熱やバイオマスなど地域にあった再エネを積極的に活用し、ネットワークを構築して、電力系統への変動負荷を減らすことが有効になる」と、国際会議で幅広い再エネを議論する意義を強調する。産総研・福島再生可能エネルギー研究所でも、太陽光と他の再生可能エネルギーをネットワーク化する研究を進めており、今回の国際会議でも、今後の方向性として議論されそうだ。