中期経営計画を説明するニコンの牛田氏
中期経営計画を説明するニコンの牛田氏
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 ニコンは2014年6月17日、2014年~2016年度の中期経営計画を発表した(説明会資料のページ)。東京都内で説明会を開催、6月27日付で取締役社長に就任予定の牛田一雄氏が登壇した。

 牛田氏が打ち出したのは、従来の主力事業である「映像」「FPD装置」「半導体装置」を再強化して収益性を改善または維持し、そこで稼いだキャッシュを次の成長事業に投じるという戦略である。新たに成長事業と位置付けるのは、「メディカル」「産業機器」「マイクロスコープ・ソリューション」の3事業。このうちメディカル事業は「中期経営計画の柱として特に力を入れ、人員とキャッシュを集中的に投下する」(牛田氏)と述べた。2014年~2016年度に、これらの新規成長事業に2000億円のM&A資金を投じる。同時期に投じる研究開発費2200億円のうち500億円を、メディカルを中心とする新事業に投下する計画だ。

リソグラフィ技術をバイオチップ製造に生かす

 メディカル事業では「我々が得意とする精密・光技術を活用し、創薬支援や非(低)侵襲医療のアンメットメディカルニーズに応える最先端のソリューションを提供する。他社の後追いはしない」(牛田氏)という。従来は検査・診断分野に特化してきたが、今後は予防、治療、予後管理を含む医療のすべてのステージで商機を探っていく。同社のノウハウをメディカル事業に展開する事例として、最先端の半導体リソグラフィ技術を、DNAやたんぱく質などを解析するバイオチップ(バイオマイクロアレイ)の製造に使う構想を示した。

 メディカル事業では自前主義を脱し、他社との提携やM&Aを加速。そこに向けて300億円規模のコーポレートベンチャーキャピタルを立ち上げる。ここでメディカル分野の最先端の情報をウォッチし、M&A部隊と連携してM&Aの機会を探っていく考えだ。同事業ではゆくゆくは2000億円以上の年間売り上げを目指すという。