金融庁は、投資信託・投資法人が投資できる資産に、「再生可能エネルギー発電設備」と「公共施設などの運営権」を追加する方向だ。同庁は6月6日、「投資信託及び投資法人に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)」等を公表した。同庁は、同案についての意見を7月7日まで受け付ける。

 投信法(投資信託及び投資法人に関する法律)では、投資信託・投資法人が投資できる資産の範囲を「有価証券、デリバティブ取引にかかる権利、不動産、不動産の賃借権、地上権、約束手形、金銭債権、匿名組合出資持分など」に限定している。同政令案では、これらに加え、固定価格買取制度(FIT)に基づく再生可能エネルギー発電設備(太陽光、風力、地熱、水力、バイオマス発電にかかわる設備)と、PFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)に基づく公共施設等運営権を追加する。

 投信法が求める投資適格性を判断する基準は、(1)専門家による客観的な価格評価が可能なこと(価格評価可能性)、(2)継続的にキャッシュフローを生み出し、投資家に対して継続的に収益を還元できる(キャッシュフロー創出の可能性)――の2点が目安となる。FITに基づく再生可能エネルギー発電と、PFI法に基づく公共施設などの運営権は、こうした要件を満たすと判断された。

 近年、世界的にインフラ投資に対する投資家の関心が高まっている。海外ではすでにインフラ投資をポートフォリオに加える機関投資家が増え、インフラファンドの上場市場創設により、規模が拡大している。国内でも、日本取引所グループが、投資法人・投資信託形態のインフラファンドを上場する市場の創設を予定している。金融庁による投資対象の追加は、こうした国内外の動きを受けたもの。