マーカー候補として注目されるがん特異的マイクロRNA
マーカー候補として注目されるがん特異的マイクロRNA
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マイクロRNAの特徴
マイクロRNAの特徴
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 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、乳がんや大腸がんなど13種類のがんを1回の採血で発見できる次世代診断システムの開発プロジェクトを始動する(リリース)。国立がん研究センターと国立長寿医療研究センターの他、東芝や東レなど9法人・団体が参加する。

 このプロジェクトでは、がん細胞が分泌するマイクロRNA(リボ核酸)に着目。13種類のがんにそれぞれ特徴的なマイクロRNAを組み合わせて、早期発見やがんの種類の特定につなげる。認知症も対象にする。医療現場で使用できるシステムを、2018年度末までに開発することを目指す。

 がんの検査に使う既存の腫瘍マーカーは、がんが進行しないと数値が上昇しない場合が少なくない。PSA(前立腺がん用)やCA125(卵巣がん用)など一部の腫瘍マーカーは早期でも数値が上昇するが、感度や特異度が不十分で、早期発見を目的とする集団検診にはほとんど使われていないのが実情だ。また、治療の個別化の観点からも、個別症例の違いを予測できるバイオマーカーの開発が求められている。

 今回のプロジェクトでは、国立がん研究センターと国立長寿医療研究センターが蓄積している臨床情報と血液サンプルを利用し、マイクロRNAを大規模に解析する。マイクロRNAとは、細胞内に存在する18~25塩基ほどの長さのRNAを指す。解析を通じ、早期のがんや認知症を発見できるマイクロRNAや、個別症例の違いを予測できるマイクロRNAを特定する計画という。

 プロジェクトの委託予定先は、国立がん研究センターと国立長寿医療研究センターの他、東レ、東芝、バイオチップコンソーシアム、バイオ産業情報化コンソーシアム、プレシジョン・システム・サイエンス、アークレイ、京都工芸繊維大学。実施期間は2014~2018年度で、総事業費は約79億円を予定している。