NTT西日本は2014年6月10日、人の心音・鼓動を活用した新しいコミュニケーションを模索する取り組みとして、「スマート光ハートビートプロジェクト」を立ち上げた(リリース)。全国1万人の心音を収集し、それを基にアーティストの大塚愛さんが楽曲を制作する。また、自分や他人の心音・鼓動を体感できるイベントを各地で開催する。
NTT西日本は同日、東京都内で記者会見を開催。同社 代表取締役社長の村尾和俊氏が登壇し、「人の心と心を豊かにつなぐ、新たなコミュニケーションの形を創造したい」とプロジェクトの狙いを話した。
心音の収集は2014年6~10月に、大塚愛さんのコンサートや、NPO法人のファザーリング・ジャパンおよびマミーズサミット・全国ネットのイベントなどの場で希望者を集って行う。心音の収集とともに、その際の心境の聞き取りも行う。心音の収集には、専用のレコーダーを利用する。この他、NTTグループが開発を進めている「心臓ピクニック」「hitoe」「ドキドキ鼓動配信アプリ」などの技術を体験できる場を各イベントで提供する。
心臓ピクニックは、聴診器で取得した自分や他人の心臓の鼓動を、手の平サイズの装置(心臓ボックス)で振動などの触覚として感じ取れるデバイス。NTTコミュニケーション科学基礎研究所が開発を進めており、かねてこのデバイスを用いたワークショップを各地で開催してきた。hitoeは、NTTとNTTドコモ、東レが共同開発した、着るだけで心拍数や心電波形を計測できる新しい機能素材である(関連記事)。
ドキドキ鼓動配信アプリは、遠隔地にいる人の鼓動を、音や光、振動として体感できるスマートフォンやタブレット端末向けアプリ。NTT物性科学基礎研究所が開発を進めており、hitoeで計測した心電波形から鼓動の情報を取り出し、遠隔地の端末に伝送するような使い方を想定している。将来的には、出産に立ち会えない家族が母親や赤ちゃんの鼓動を体感できたり、テレビでのスポーツ観戦時にアスリートの緊張感や高揚感を鼓動を介して体感できたりする、といった応用が考えられるという。
収集した1万人分の心音や心境は、プロジェクトのアンバサダーを務める大塚愛さんが、オリジナル楽曲の制作に活用する。一部の心音をそのまま楽曲に活用するとともに、収集したデータを大塚愛さんのインスピレーションを高める素材として活用するという。完成した楽曲は、2014年12月に発表する予定だ。記者会見にゲストとして登場した大塚さんは、「素材があって作曲するという体験は初めてなので、どういう楽曲になるか予想できない。心音は意外に良い低音(で楽曲に活用できそう)だと感じている」と話した。
記事初出時、記者会見での説明に従って「心音の収集には、NTTグループが開発を進めている「心臓ピクニック」「hitoe」「ドキドキ鼓動配信アプリ」などの技術を活用する」としていましたが、NTT西日本より訂正の申し入れがあり、「専用のレコーダーを利用する」と訂正しました。本文は修正済みです。