図●異物検出用のミリ波レーダーセンサー(路面装置)の試作例。2014年6月5日に開催された「電子航法研究所研究発表会」に日立製作所が参考出展した。電子航法研究所や情報通信研究機構、鉄道総合技術研究所、日立製作所が共同で実施した研究成果を踏まえて日立が製品化を予定している。
図●異物検出用のミリ波レーダーセンサー(路面装置)の試作例。2014年6月5日に開催された「電子航法研究所研究発表会」に日立製作所が参考出展した。電子航法研究所や情報通信研究機構、鉄道総合技術研究所、日立製作所が共同で実施した研究成果を踏まえて日立が製品化を予定している。
[画像のクリックで拡大表示]

 時速300km前後という高スピードで離着陸する旅客機。離陸時の質量は大型のものになると300t級と重い。そのため、滑走路上に異物があると、それを車輪で踏んづけたり跳ね上げたりして、最悪のケースでは事故につながったりする。

 実際、2000年7月25日には、仏パリのシャルル・ド・ゴール国際空港から飛び立とうとした超音速旅客機コンコルド(エールフランス4590便)が、滑走路上に落下していたチタン製の金属板(42×3cm)によって燃料タンクに損傷を受け、離陸後約2分で墜落するという大事故を起こしている。2014年6月5日に開催された「電子航法研究所研究発表会」では、こうした事故を未然に防ぐことを目指して同研究所などが研究開発を進めている「光ファイバー接続型滑走路監視用ミリ波レーダー」について発表した*1

*1 ミリ波とは、波長が1~10mmの電波で、周波数でいえば30G~300GHzの電波のこと。電波の中でも光に近い周波数帯のもので、直進性が強い、耐環境性に優れる(雨、霧、雪、汚れに強い)、アンテナの小型化が可能、情報伝送容量が大きい、遠くまで伝わらない、などの特徴を持つ。

 光ファイバー接続型滑走路監視用ミリ波レーダーは、電子航法研究所(ENRI)や情報通信研究機構(NICT)、鉄道総合技術研究所、日立製作所が共同で研究開発を実施している滑走路の異物を検出するためのシステムだ*2。狙っているのは低コスト化。これまで研究開発されてきた同種のシステムでは、コストが「約100億円」(電子航法研究所主任研究員の二ッ森俊一氏)と高い。それを「1/10まで低減することを目指している」(同氏)。

*2 総務省からの受託研究である「90GHzリニアセルによる高精度イメージング技術の研究開発」の一環。