内視鏡操作システムによる動物実験の様子
内視鏡操作システムによる動物実験の様子
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 東京工業大学 精密工学研究所 准教授の只野耕太郎氏、同 客員教授の川嶋健嗣氏(東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 教授)らは、手術支援ロボットシステムなどの開発・製造を手掛けるベンチャー企業、リバーフィールドを設立した。まずは、執刀医の頭部動作で直感的に内視鏡を操作できる内視鏡操作システムについて、2014年度中に国内外への販売を開始する。さらに、力覚提示機能を備える小型の手術支援ロボットシステムの事業化も目指す。

 最近では、開腹手術に代わって患者への負担が少ない内視鏡手術の件数が増えている(関連記事:内視鏡手術に見る医療イノベーション<上>)。ただし、内視鏡手術では助手が内視鏡カメラの操作を行う必要があり、術者との円滑な意思疎通や手振れなどの課題があった。2014年度に販売を開始する内視鏡操作システムは、術者の頭部に装着したジャイロセンサーで前後、上下、左右の動きを検出し、頭の動きで内視鏡カメラを操作するシステムである(関連記事:【MEDICA 2012】執刀医の頭の動きと連動する「ロボット内視鏡ホルダー」、東工大が展示)。

 これにより、術者の意図通りにカメラアングルが操作可能で、術者は両手が塞がった状態でも内視鏡カメラを動かすことができる。内視鏡操作システムは、2012年11月に一般医療機器として薬事承認を受けており、現在、大学病院で臨床試験を実施し、改良した製品を開発中であるという。

 この成果は、文部科学省の大学発新産業創出拠点プロジェクト(START)におけるプロジェクト「気体の超精密制御技術を基盤とした低侵襲手術支援ロボットシステムの開発」(研究代表者:只野耕太郎氏)によって、事業プロモーターユニットのジャフコ(代表事業プロモーター:投資部産学連携投資グループリーダーの伊藤毅氏)の協力の下に得られたものである。