血液中のアミノ酸濃度バランスに注目
血液中のアミノ酸濃度バランスに注目
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 味の素と、三井記念病院総合健診センター特任顧問の山門實氏らの共同グループは、生活習慣病に関連するリスクの高い集団を採血検査だけで抽出できる可能性があることを確認した(リリース)。「アミノインデックス技術」と呼ぶ手法を用いる。

 アミノインデックス技術とは、血液中のアミノ酸濃度のバランスの変動を統計学的に解析し、健康状態や疾病のリスクを明らかにする技術。研究グループはこの技術を用いて、内臓脂肪蓄積や脂肪肝、食後高インスリン血症といった生活習慣病に関連するリスクの状態を評価できることを明らかにしてきた。いずれのリスクも、腹囲やBMI値、血糖値などの通常の健康診断項目では把握することが難しいものだという。

 今回は20~80歳代の人間ドック受診者約4000人を対象に、血液中のアミノ酸濃度のバランスとさまざまな検査指標の関連を解析した。その結果、アミノインデックス技術による指標値の分布と、既存手法で抽出した高リスク群の分布が、同様の傾向を示したという。すなわち、生活習慣病に関連する高リスク集団の抽出に、アミノインデックス技術を応用できる可能性が示唆されたとしている。

 味の素はこの技術を用いることで、企業の健康診断などにおいて、生活習慣病に関するリスクの高い受診者を簡便に判別し、生活習慣の改善や早期治療につなげることを目指す考えである。

 同社はアミノインデックス技術を活用し、採血検査だけで6種類のがんのリスクをスクリーニングできる検査サービス「アミノインデックス がんリスクスクリーニング(AICS)」を2011年4月から事業化している。今後、同技術でがんや生活習慣病のリスクを低減したり、医療費削減の一助としたりすることを目指す。さらに、同技術の適用先を高齢者の栄養管理、運動などにも広げていくという。