ヘルスケア事業の戦略を語る田中氏
ヘルスケア事業の戦略を語る田中氏
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 東芝 代表執行役社長の田中久雄氏は2014年5月22日に開催した経営方針説明会において、「ストレージ」「エネルギー」に続く第3の柱に位置付けるヘルスケア事業の戦略を語った(関連記事1同 2同3同4)。同事業の2013年度の売上高は4108億円で、これを2015年度に6000億円、2016年度には7200億円に高める考え。2014年7月1日付でヘルスケア社を発足させ、グループ内の関連事業をここに統合して事業強化を図る。

 現在の主力は、画像診断装置を中心とするメディカル(医療)分野。ここでは、画像診断装置事業で世界トップ3入り、X線CT装置で世界首位を目指す。「新興国を含めた海外展開を図るとともに、臨床的価値と経済性を両立した製品を投入していく」(田中氏)という。今後は、迅速ウイルス診断や感染症診断などのIVD(体外診断)分野、PET-CT装置などのバイオマーカーイメージング分野にも事業を拡大する考えである。

 さらに、予防医療などのヘルスケア分野でも早期に事業を拡大していく狙いを示した。具体的には、ゲノム解析やビッグデータ解析、生体センシングなどの領域に力を入れる(関連記事5)。生体センシングについては「半導体事業で培った低電力化や小型化のノウハウを生かし、競争力のある製品を開発できる」(田中氏)とした。この他、DNA検査システムやシニア向け住宅サービスなどにも注力する考えである。ヘルスケア事業の2016年度の売上高として計画する7200億円のうち、ヘルスケア分野で1900億円(メディカル分野で5300億円)を売り上げる計画だ。

 東芝は今後、ヘルスケア分野でM&Aを積極的に検討していく。2017年度にはヘルスケア事業の売上高を1兆円にまで高めたい考えで、そのためには「(自社での)オーガニックな成長では届かないため、他社とのアライアンス(協業)やM&Aを考える」(田中氏)という。その具体的な内容はまだ決まっていないとするものの、予防医療や体外診断などの分野で重点的に検討するとした。