「あたまの健康チェック」のフロー
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判別精度
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 パラマウントベッドは、軽度認知障害を判別するツール「あたまの健康チェック」を2014年6月1日に発売し、認知症予防事業に参入する(リリース)。

 今回のツールは、認知症予備軍とされる軽度認知障害(MCI:mild cognitive impairment)の状態かどうかを判別できる。インターネット上のプログラムを使って対話形式で行う。これまで医師や有資格者でなければ難しかった判別を、誰でも簡単に行うことができるのが特徴だ。

 実施時間は約10分。テスト結果は対象者の性別や年齢、テスト回答パターンなどから人口統計学的に自動算出され、0~100の「認知機能指数」で表される。この指数が49.8未満だとMCIの疑いがあるという。テスト結果はデータベースに保存されるため、長期にわたって対象者の経過をみることができる。

 MCIは認知機能の低下が見られる最も初期の状態。認知機能に「物忘れ」とは異なる問題が見られるものの、日常生活では自立した状態にあることを指す。2012年時点で認知症患者は約462万人、MCIの状態の人は約400万人と推定されている。

 MCIを放置すると認知機能の低下が続き、約半数の割合で認知症になる可能性があるとされる。適切な生活習慣改善などの予防策や治療により、認知症への進行を防いだり発症を遅らせたりできることが、最近の研究で分かってきたという。そのため、認知症予防ではMCIを早期に発見し、専門医に相談することが重要になる。

 今回発売するツールは、米Medical Care社が開発した認知機能チェックツールの日本語版。同ツールは米国で実施された検証の結果、97%の精度、94%の感度、89%の特異度を示した。日本語版についても、福岡大学のグループが実施した検証の結果、米国版と同等の精度を持つことを確認済みという。

 パラマウントベッドは、日本語版ツールの販売総代理店であるミレニアと業務提携し、病院やクリニック、自治体などへの導入を目指す。初年度に100施設に販売する計画である。パラマウントベッドは今回のツールを「第15回日本認知症ケア学会大会」(2014年5月31日~6月1日、東京国際フォーラム)に出展する。