トヨタ紡織と豊田中央研究所は、自動車の内装部品に使われるポリプロピレン(PP)の約10倍と高い耐衝撃強度を持つバイオプラスチック(バイオプラ)を共同で開発し、「自動車技術会2014年春季大会」においてその概要を発表した。

 同バイオプラは、ポリアミド(PA)11とPPをアロイ化したもの。トウゴマから抽出したひまし油を原料とする100%植物由来のPA11を利用したバイオプラである。そのシャルピー衝撃強度は、常温で約90kJ/m2。自動車内装用のバイオプラであるPP/ポリ乳酸アロイの約13倍、高衝撃ポリマーアロイとされるポリカーボネート(PC)/アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)アロイの約8割増に相当するという(図1)。

図1●開発材(共連続相サラミ構造のPP/PA11アロイ)と従来材のシャルピー衝撃強度の比較
サラミ構造のPP/PA11アロイも共連続相サラミ構造の同アロイを開発する前にトヨタ紡織と豊田中央研究所が開発したものである。
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 両社によれば、耐衝撃強度が飛躍的に向上したことで、バイオプラの適用範囲が大幅に拡大する可能性がある。例えば、自動車内装部品では、自動車用ドアトリムなどの現状ではPPを適用している部品だけではなく、インスツルメントパネルの基材や衝突エネルギー吸収体といった衝突時の乗員保護の観点から高い耐衝撃性と剛性が必要な部品への適用が可能になるという。さらに、自動車の外装部品への適用も期待され、バンパーモジュールや樹脂製フェンダーなどが候補の一部になるとしている。

 もちろん、自動車以外の用途への適用も可能。旅行用スーツケース、ヘルメット、各種携帯端末の筐体、一般家電の筐体など、高衝撃ポリマーアロイを使っている部品もその候補になり得るという。