ひさし状の太陽電池を一体化した 外装カーテンウォール(出所:大林組)
ひさし状の太陽電池を一体化した 外装カーテンウォール(出所:大林組)
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オフグリッド(独立)タイプの太陽光発電制御盤(出所:大林組)
オフグリッド(独立)タイプの太陽光発電制御盤(出所:大林組)
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 大林組は4月25日、外装のひさしに太陽電池を組み込んだ「太陽光発電外装システム」を開発し、大林組技術研究所(東京都清瀬市)の新実験施設「オープンラボ-2」に設置したと発表した。太陽電池と外装カーテンウォールを一体化し、発電した電力を建物内の送電網に接続せず、直接、外装の省エネ窓システムやロールスクリーンの駆動に利用するオフグリッド型システムにした。

 シリコン結晶系による合わせガラスタイプの太陽電池を採用した。セル(発電素子)の組み合わせが自由で、建築用合わせガラスと同様に扱えるため、外装設計デザインに応じて製作できる。ひさし状に設置し、眺望を妨げることなく、夏期には日よけ効果もある。

 発電電力をコントローラーで制御しながら蓄電池に蓄電し、インバーターで交流に変換して、省エネ窓システムやロールスクリーンなどのモーター駆動に直接利用する。オフグリッドタイプのため、照明や携帯電話への充電などBCP(事業継続計画)対策としても使える。一定容量未満のオフグリッドタイプは、電力会社などとの事前協議が不要で法規制も受けないので、比較的簡易に設置できる。

 一般的に太陽光発電は、天候に左右され不安定なため、系統連系して売電するが、電力会社との事前協議が必要であることや、停電時には太陽光発電も停止してしまうため、特長の一つである非常用電源としての機能が果たせないといった課題がある。加えて、屋上や屋根だけでなく建物外装にも太陽電池を設置したいというニーズはあるものの、意匠性を加味した太陽電池の導入コストは非常に高く、発電効率も低いため、系統連系方式の利用法では十分な導入効果を見出せなかった。大林組のオフグリッド型「太陽光発電外装システム」はこうした課題に対応した。