両社の強みを生かす
両社の強みを生かす
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 金型の設計・製造サービスなどを手掛けるSOLIZE(旧 インクス)と英Oval Medical Technologies社は2014年4月28日、注入操作の補助機構を組み込んだ注射器(プレフィルドオートインジェクタ)の開発に関する協業に合意した(リリース)。バイオ医薬分野などに向ける。日本でも拡大が見込まれるプレフィルドオートインジェクタ市場に向けて、個々の医薬に対応した信頼性の高いデバイスを早期に開発することを目指すという。

 バイオ医薬はバイオテクノロジーで製造した医薬品であり、近年では医薬品の中でも高い注目を集めている。一方、化学的に不安定で汚染物質が混入すると変性したり、粘性が高くガラス製注射器で投与するのが難しいといった課題がある。また、欧米では患者が自ら注射する自己注射のニーズが高まっているため、患者の利便性や安全性への配慮も課題という。

 Oval社は、注射器を含む新しい非経口投与デバイスの開発に取り組んでいる。粘性の高い医薬品の放出制御に関する深い知見と、デバイス開発に関する高い技術力を備えるという。

 同社は現在、高い安全性と使いやすさを備えた、小型で軽量のプラスチック製プレフィルドオートインジェクタを開発中である。プレフィルドオートインジェクタとは、薬剤があらかじめ充填されており、機械による注入操作の補助機構を組み込んだ注射器。従来の注射器に比べて薬剤充填の手間を軽減できることに加え、操作性や安全性、投与の確実性も増すという。

 SOLIZEは、3Dデータを用いた製品設計や試作金型、工程改革のコンサルティングなどに取り組んでいる。製造性設計(design for manufacture)や金型製造、プラスチック成形などのノウハウを生かし、欧州の顧客を中心に医療デバイスの開発を支援してきた。