Renewable Energy Systems Americas社が設置した電力貯蔵システム(出所:Renewable Energy Systems Americas社)
Renewable Energy Systems Americas社が設置した電力貯蔵システム(出所:Renewable Energy Systems Americas社)
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 米国の太陽光・風力発電開発事業者のRenewable Energy Systems Americas社(RESA社)は、同社にとって初めてとなる電力貯蔵システムの運用を開始したと発表した。米国オハイオ州コロンブス郊外のサンベリーに設置した。

 容量2.6MWhのLiイオン電池を備え、4MW分の出力急上昇と急低下を吸収できることから、太陽光・風力発電による合計8MWの出力変動幅に対応できる。米国最大の独立系統運用機関(ISO)である Pennsylvania-New Jersey-Maryland Interconnection(PJM Interconnection)に、電力系統の周波数調整サービスを提供するとしている。

 設置した電力貯蔵システムは、筐体を含めて重量が約20tあり、Liイオン電池のほか、風力発電で出力された交流の電力を直流に変換する変換器などからなる。この電力貯蔵システムは、中国BYD社の米国法人から調達した。

 RESA社では、再生可能エネルギーによる発電システムや、電力網との連系、電設工事の経験を生かし、いち早く自社による独立系発電事業(IPP)や、EPC(設計・調達・建設)サービスにおける電力貯蔵システムの導入を進めていくという。2014年6月には、カナダのオンタリオでも、ISO向けに4MWの電力貯蔵システムの運用を開始する予定。

 電力貯蔵システム市場は、今後数年間で世界的に急成長すると予想されている。太陽光・風力発電の急拡大に伴い、その出力変動を電力貯蔵システムを併用することで安定化するニーズが高まっている。

 米Navigant Research社は、今後、電力系統の周波数調整を含む、多くのサービスが普及することから、発電事業用の電力貯蔵システム向けの電池市場が、2014年の1.64億米ドルから2023年には25億米ドル以上に拡大すると予測している。