沖縄県宮古島に設置した電力系統用蓄電池(出所:日経BP)
沖縄県宮古島に設置した電力系統用蓄電池(出所:日経BP)
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 富士経済(東京都中央区)は4月18日、大容量蓄電池(二次電池)搭載製品とその世界市場を調査し、概要を公表した。それによると大容量蓄電池の世界市場は2013年に前年比19.1%増の1兆6645億円となり、2025年には2013年比5.9倍の9兆8570億円と予測する。2013年時点では自動車と電力貯蔵用がそれぞれ市場の4割弱を占めるが、今後は、自動車分野のシェアが拡大し、2025年には市場の7割強を占めると予測する。

 新市場として注目するのは、電力貯蔵システム向け蓄電池で、2013年の同市場は、前年比4.5%増の1035億円と、住宅用がけん引し1000億円を突破した。2025年には2013年比7.1倍の7303億円と予測する。住宅用は、現状、米国などでの非常用電源用途が多い。今後はドイツを中心とした欧州やオーストラリアなどにおけるピークシフト用途、系統インフラが未整備な一方で住宅の電力需要が拡大しているインドやアフリカ諸国などでの独立電源用途の拡大が期待されるという。国内では、東日本大震災を契機として大手ハウスメーカーが住宅用蓄電システムを採用し、新築住宅向けを中心に市場が形成された。既に需要の中心は太陽光発電システムを設置する既築住宅に移っている。

 非住宅向けの電力貯蔵システムは、日本の公共施設向け案件とドイツのピークカット、ピークシフト用途による導入が大半を占める。日本ではグリーンニューディール基金の開始によって、公共施設を中心に太陽光発電システムとあわせた導入が増加した。補助金の縮小や廃止により需要は一時的に縮小するが、中長期的には電池価格の下落に伴い需要が喚起されるという。海外ではドイツを中心に、オーストラリアや、スマートシティ事業の進展により中国での拡大が期待されるという。

 大規模貯蔵システムは、実証案件による導入が大半を占め、市場は大型案件の有無に左右される。再生可能エネルギーの系統安定化を目的とする電力貯蔵システムでは、風力発電向けが先行している。今後は各電池の特性に基づき、短時間の出力調整を行う出力平滑化用途と長時間にわたる出力調整を行う出力平準化用途で使い分けが進み、出力平滑化にはLiイオン電池とニッケル水素電池、出力平準化には鉛電池、NAS電池、レドックスフロー電池、ゼブラ電池の採用が予想されるという。