2013年の太陽光発電向けPCS市場シェア上位10位(左)。2008年の市場シェアと比べると、欧州メーカーが抜け、アジアメーカーに入れ替わっている(右)。(出所:米IHS社)
2013年の太陽光発電向けPCS市場シェア上位10位(左)。2008年の市場シェアと比べると、欧州メーカーが抜け、アジアメーカーに入れ替わっている(右)。(出所:米IHS社)
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 調査会社の米IHS社の技術部門は4月、2013年の太陽光発電向けのパワーコンディショナー(PCS)市場の上位10社ランキングを公表した。

 1位はドイツSMAソーラーテクノロジー社、2位はスイスABB社となった。両社とも、前年の順位を維持した。ABB社の数値には、買収した米Power-One社の実績も含んでいる。

 2013年のPCS市場は、アジアのPCSメーカーの勢いが顕著になった。特に、日本と中国のPCSメーカーが順位を上げた。上位10位のうち、日本から3社、中国から1社の合計4社を占めた。2012年のPCS市場の上位10社のうち、アジアのPCSメーカーは2社、2011年はランク外だった。

 日本から上位10社に入ったのは、3位のオムロン、4位の東芝三菱電機産業システム(TMEIC)、7位の田淵電機である。住宅用や小容量の産業用に強いオムロンは2012年に比べて3ランク、田淵電気は1ランク、それぞれ順位を上げた。

 大容量の発電事業用に強みを持つTMEICは、10ランク以上も順位を上げており、日本国内のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の急増が、世界ランキングに大きく影響を与えたことがわかる。

 IHS社によると、世界のPCS市場に占めるアジア地域のシェア拡大が、日本や中国のPCSメーカーのランクアップに寄与したという。日本と中国を合わせた市場規模が世界市場に占める比率は、2011年の12%から、2013年は35%に拡大した。

 日本や中国など急激に拡大している市場は、従来からグローバルに展開してきたPCSメーカーにとって、参入障壁が高いとしている。この障壁が有利に働き、アジアのPCSメーカーは、現地の市場を占有しているとする。

 中国勢では、Sungrow Power Supply社が5位に入った。2013年第4四半期(2013年10~12月)には、合計2GW以上の容量のPCSを出荷した。

 1四半期における出荷の最高記録は、ドイツSMAソーラーテクノロジー社が2010年に達成した約2.4GWで、Sungrow Power Supply社はこの記録に近づいた。

 IHS社は、太陽光発電システム市場の地域シェアに大きな変化が起きていると分析する。PCSの市場環境もその影響を受け、2014年には、日本と中国のPCSメーカーが、さらに順位を上げる可能性があるとしている。

 国内市場が拡大したアジア勢が伸長した一方、国内市場が低調となった欧州勢は苦戦が続いた。欧州におけるPCS市場は、2012年以降の2年間で、半分に縮小しているという。