EVを使った電力供給のイメージ(出所:奈良県、奈良県大淀町、近畿日本鉄道)
EVを使った電力供給のイメージ(出所:奈良県、奈良県大淀町、近畿日本鉄道)
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 近畿日本鉄道、奈良県、同県大淀町は、緊急時に同町にあるメガソーラー(大規模太陽光発電所)からEV(電気自動車)を介して、避難所などに電力供給できるシステムを構築した。近鉄が建設し、3月20日に竣工した出力3MWのメガソーラー「近鉄花吉野ソーラー発電所」から、日産自動車製のEV「リーフ」に充電し、避難所などに移動して電力を供給する。

 このプロジェクトは、2012年度から「花吉野ガーデンヒルズ(大淀町福神地区)における再生可能エネルギー高度利活用検討会」において、県、大淀町、近畿日本鉄道を中心に、「災害時に活用できる電力供給システム」を目指して検討してきた。近鉄花吉野ソーラー発電所が完成したことで実現可能となり、3月29日に完成式と実演を実施した。

 JFEエンジニアリング製の蓄電池内蔵型の急速充電器をメガソーラーに併設した。定格入力は28kW 以下、定格出力は 最大50kW、蓄電池の容量は12kWh。災害による大規模停電時などに、「リーフ」に充電し、専用の中継機器(EV パワーステーション)を設置した建物まで走行して「LEAF to Home システム」により電力供給する。リーフは24kWhの蓄電池を備える。平常時は、電力系統の電気を使って急速充電し、系統が停電時にメガソーラーを自立運転に切り換えて急速充電器に電力供給する。避難所などの建物のバックアップ電源に、EVを介してメガソーラーの電力を活用するシステムは、全国でも初めてという。