発表したFUJIFILM FC1
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事業戦略を発表する後藤氏
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新製品について説明する山崎氏
新製品について説明する山崎氏
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 富士フイルムは、2012年4月に買収した米SonoSite社(現 FUJIFILM SonoSite社)との第1弾共同開発製品となる携帯型超音波診断装置「FUJIFILM FC1」を発表した(リリース関連記事)。高い画像処理能力を備えるマイクロプロセッサー(MPU)を開発し、搭載することで、描写力に優れた高解像度の画像を実現した。片手で持ち運びでき、その場での検査・診断(POC:point of care testing)に向くという。2014年5月12日に販売を開始する。

 FUJIFILM FC1は、富士フイルムが持つ画像処理技術と、FUJIFILM SonoSite社が持つ筐体の小型化技術および探触子(プローブ)の堅牢化技術を融合して開発した。特に、富士フイルムが得意とする画像処理技術を最大限に生かすことで「据え置き型装置と同等の高画質を実現した」(FUJIFILM SonoSite社 Senior Engineering Director, Ultrasound Engineering Fellow, JSUMの山崎延夫氏)ことが最大の特徴だ。

 搭載した画像処理技術は大きく二つある。第1に、新規開発したメニーコアプロセッサーを搭載し、演算能力を大幅に高めた。これにより、プローブで取得した膨大なデータを高速に処理できるようになった。加えて、測定対象とする組織の硬さによって音速がばらつき、取得画像がボケる現象を防げるようになった。高い演算能力を生かし、異なる音速で測定した画像をソフトウエア処理で生成し、その中から最も高い解像度が得られる音速を選んで画像を取得するという仕組みである。従来は、組織の硬さによらず音速を一定とみなして画像を取得していた。

 搭載したメニーコアプロセッサーは日本の半導体メーカーとの共同開発品。これほど高性能のプロセッサーを超音波診断装置に搭載した事例は「据え置き型を含めて業界初」(山崎氏)という。