図1 実験の様子
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図2 時速100kmで走行しながら撮影した画像
図2 時速100kmで走行しながら撮影した画像
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図3 撮影車両にはカメラのほか、シャッター速度を確保するため照明を搭載した
図3 撮影車両にはカメラのほか、シャッター速度を確保するため照明を搭載した
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 中日本高速道路(NEXCO中日本)は2014年3月27日、トンネル内を高速で走行しながら画像処理により自動的に異常を検出する技術を開発していることを発表した(pdf形式のプレスリリース)。点検技術の信頼性向上と客観性の確保を目指す。

 トンネル構造物などの点検は現在、交通規制した上で高所作業車などを用いて目視や打音、触診などによって実施している。今回の開発は、日常的な巡回時にトンネル内の状況を撮影するだけで、いち早く異常を発見する技術の確立を目的とする。トンネル内を高速走行しながら撮影した映像を過去に撮影した映像と比較し、金具などの位置ずれ、トンネル内コンクリートのひび割れの進行を自動的に検出するシステムを開発する。

 東京大学 情報理工学研究科 創造情報学専攻 教授の石川正俊氏が研究開発している「高速画像処理技術」を活用する方針。これは、高速で移動する物体を常に撮影フレームの中心に捉え続け、高速カメラによってブレのない高精度な映像を撮影する技術である。

 既に開発に着手しており、時速100kmで高速走行しながら、トンネル天井部に設置したジェットファンの固定金具を撮影する試験を2013年に実施した(図1)。その結果、「ブレのない鮮明な画像を取得できた」(NEXCO中日本)という(図2、3)。

 今後、撮影した画像を過去に撮影した画像と比較することにより、変化をリアルタイムに検出するシステムを構築していく予定である。同システムによって「トンネル内に設置された金具などの位置ずれやひび割れの進行を自動的に検出」(同社)し、高速道路の点検や維持管理を強化していく考えである。