米調査会社のLux Research社は、経皮吸収型の医薬品やワクチンの年間売上高が今後10年以内に60億米ドル規模に拡大するとの予測を発表した。

 経皮貼付剤(パッチ)は利便性が高く、安価である点や薬物の送達管理が容易である点などから長く注目されてきた。ただし、過去30年間でわずか16製品しか利用されていないニッチ市場だったという。しかしLux Research社によれば、現在ではワクチン投与や薬物送達、バイオフィードバック機能などの幅広い分野で、81の臨床治験が実施されている。

 パッチ市場の成長を牽引するのは、高齢化の進行や新技術の登場だという。高齢化社会では、複数の慢性疾患の治療に際して、投薬管理や安全性への配慮が重要となる。また、最近登場している新たなパッチは、従来製品よりも性能が優れ機能性も高いという。

 具体的には、パーキンソン病向けのパッチが売り上げ増加に大きく貢献する見通しである。例えば、米UCB社のパーキンソン病向けロチゴチンパッチは、2020年までに米国と欧州の合計で約5億米ドルの年間売り上げを達成する見込みという。

 偏頭痛治療薬もヒット商品となっている。米Nupathe社の偏頭痛治療向けパッチは、2020年までに米国と欧州の合計で約10億米ドルの年間売り上げを達成する見込みとしている。