協定書の調印式。左から、福島県知事の佐藤雄平氏、産総研 理事長の中鉢良治氏
協定書の調印式。左から、福島県知事の佐藤雄平氏、産総研 理事長の中鉢良治氏
[画像のクリックで拡大表示]
福島再生可能エネルギー研究所。右奥に風車が見える
福島再生可能エネルギー研究所。右奥に風車が見える
[画像のクリックで拡大表示]
定格出力300kWの風力発電システムと、同500kWの太陽光発電システムを設置
定格出力300kWの風力発電システムと、同500kWの太陽光発電システムを設置
[画像のクリックで拡大表示]
出力変動の抑制技術を開発へ
出力変動の抑制技術を開発へ
[画像のクリックで拡大表示]

 福島県と産業技術総合研究所(産総研)は、再生可能エネルギー関連産業の福島県への集積に向けて連携する協定を2014年3月25日に締結した。産総研は同日、連携の拠点となる「福島再生可能エネルギー研究所」(福島県郡山市待池台)を、報道機関に公開した。同研究所は2014年4月に開所予定である。

 福島県は、東日本大震災からの復興に向けた施策の一つとして、「再生可能エネルギーの飛躍的な推進による新たな社会づくり」を掲げている。具体的には、再生可能エネルギーの導入促進や、再生可能エネルギー関連産業の集積を進める計画である。

 これに対して産総研は、福島再生可能エネルギー研究所の開所によって、福島県を世界有数の再生可能エネルギー研究の拠点にするべく取り組むとともに、福島県の企業の技術開発を支援する。福島県の企業や大学が産総研と再生可能エネルギー分野で共同研究をする場合、福島県が経費の一部を補助する制度も2014年度に始まる。

 福島再生可能エネルギー研究所は、風力、太陽光、水素、地熱、地中熱などの研究を実施する。例えば風力では、レーザーを用いた風況予測技術を開発して発電量を5%増やしたり、騒音を低減したりする研究を進める。太陽光では、セルからモジュールまで試作できる太陽電池の製造ラインを構築して、セルの薄型化やモジュールの軽量化などを実施する。水素では、メチルシクロへキサンによる貯蔵と水素混合ディーゼル発電機による発電などを研究する。

 研究所の敷地には、定格出力が300kWの風力発電システムと、同500kWの太陽光発電システムを設置した。蓄電池や水素などを活用して出力変動を抑制しながら、研究所に供給する。当初は研究所の電力需要の半分程度を、将来はすべてを供給する計画である。こうした研究を通して、再生可能エネルギーの大量導入時代に向けた技術を開発する。