2014年度の1kWh当たりの賦課金単価(0.75円)の算定根拠。「算定方法の見直し」とは、買取制度運用ワーキンググループによる検討を反映したもの。(出所:経済産業省)
2014年度の1kWh当たりの賦課金単価(0.75円)の算定根拠。「算定方法の見直し」とは、買取制度運用ワーキンググループによる検討を反映したもの。(出所:経済産業省)
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 経済産業省は3月25日、2014年度の固定価格買取制度(FIT)の買取価格を正式に発表した。また、同日、「回避可能費用」の算定方法に関し、「買取制度運用ワーキンググループ」での検討を踏まえた新しい算定方法を示し、それに基づいた2014年度の回避可能費用と賦課金の単価を公表した。回避可能費用の算定の変更は、新電力(PPS)による太陽光発電のプレミア価格での買い取りにも影響しそうだ。

 2013年度の買取価格と比べた変更点は、太陽光発電の引き下げと、風力発電と小水力発電に関して新たな区分を設けたこと。3月7日に公表した、調達価格等算定委員会の「平成26年度調達価格及び調達期間に関する意見」を尊重したものだ。太陽光発電に関しては、非住宅用(10kW以上)を1kWh当たり36円から同32円に、住宅用(10kW未満)を同38円から同37円に引き下げた(金額はいずれも税抜き、以下同じ)。買取期間は、非住宅用が20年間、住宅用が10年になる。

 風力発電については、新たに洋上風力の区分を新設し、同36円とし、陸上風力の同22円より高くした。中小水力発電に関しては、「既設導水路活用中小水力」という区分を新設した。これは、既に設置している導水路を活用して、電気設備と水圧鉄管を更新するものを指し、従来想定していたすべての設備を新設した場合に比べ、出力規模によって同8~10円低い買取価格を設定した。風力、中小水力とも買取期間は20年。

 また、経産省は総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会の「買取制度運用ワーキンググループ」での回避可能費用の算定に関する検討結果を公開した。「回避可能費用」とは、電気事業者が再生可能エネルギー由来電力の調達によって削減された、電力の発電・調達コストのこと。買取費用から回避可能費用などを差し引いた費用を「賦課金」として電力料金に上乗せして電気使用者から徴収し、買い取った電力会社が受け取る仕組みだ。

 回避可能費用の算定方法は、2013年度分まで、停止中の原発も一部含めた全電源の平均可変単価を使っていた。2014年度分からは、再生可能エネルギー由来電力を「非変動性再生可能エネルギー電源」と「変動性再生可能エネルギー電源」に分け、前者については供給力に計上できる分は全電源平均の可変費と固定費を使い、後者については、火力の平均可変費単価を使うことになった。太陽光発電に関しては、電力会社によって0~21%を供給力に計上し、残りは火力平均可変費単価を使って計算する。

 2013年度の回避可能費用は1670億円だったが、2014年度は買取量の増加と新算定方法によって2480億円になると公表された。これを前提に2014年度の賦課金の単価を計算すると、1kWh当たり0.75円となり、標準家庭(月の使用電力量が300kWh)では月額225円となる。2013年度は同0.35円、標準家庭で同105円だったので、2倍以上に増える。また、太陽光発電の回避可能費用の算定方法が、全電源平均可変費単価から、火力平均可変費単価を主体に全電源平均固定費も考慮することに変更されたことは、いずれも増加要因になる。新電力に適用される回避可能費用は、営業地域の加重平均で決まるため、これまで実際の回避可能費用との差をプレミアとして、買取価格に上乗せする事業者もいた。今回の変更によって、こうしたプレミア買取の“原資”が減る方向性になる。