三菱化学と大成建設は3月24日、有機薄膜太陽電池を用いた発電する建物外壁ユニットを共同開発し、性能評価のための実証試験を始めると発表した。
三菱化学は塗布型有機薄膜太陽電池の開発に取り組んでおり、変換効率で11.7%という有機系では世界最高水準を達成している。塗布型有機薄膜太陽電池は有機半導体材料を塗布して製造するため、基板にプラスチックや金属などの薄い材料を用いれば、軽量で柔軟な太陽電池を実現できる。3次元曲面上にも作製できるため、太陽電池を設置したり、装着したりする場所が大幅に広がる可能性がある。
開発した建物外装ユニットは、大成建設が持つ外装材に関する知見やノウハウを生かし、建築物で求められる多様なデザインや色彩、建築物の長寿命化にも対応できる交換工事の容易さを追求した。
太陽光パネルの設置面積が限られる都市部で太陽光発電の活用を増やしていくには、屋根や屋上面への設置だけでなく、外壁や窓などの部位にも発電機能を持たせることが有力な手段になる。大成建設は、横浜市戸塚区にある同社技術センター内に『ZEB(ゼロエネルギービル)実証棟』を建設中で、両社は同棟の外壁に新開発の太陽電池を使用し、発電性能や建材としての施工性、耐久性などを実証していく。