図1 「ロボット介護機器開発・導入促進事業」の概要(図:産業技術総合研究所)
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図2 船井電機が開発した屋外移動支援用の「歩行アシストカート」
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図3 安川電機が開発した非装着型移乗支援用の「移乗アシスト装置」
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図4 ロボット介護機器の開発補助における2014年度の重点分野(図:産業技術総合研究所)
図4 ロボット介護機器の開発補助における2014年度の重点分野(図:産業技術総合研究所)
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図5 産業技術総合研究所が開発した「介護者動作模擬ロボット」負荷低減などの効果を定量化する
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図6 「ロボット介護機器導入実証事業」の事業スキーム(図:テクノエイド協会)
図6 「ロボット介護機器導入実証事業」の事業スキーム(図:テクノエイド協会)
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 経済産業省の「ロボット介護機器開発・導入促進事業」の2013年度の成果発表会が開催された。2013年度に進めてきた、「移乗支援」「移動支援」「排泄支援」「認知症の方の見守り」を重点分野としたロボット介護機器の開発補助と、ロボット介護機器の開発で求められる安全性や利用効果の評価・検証手法の確立における成果を報告した。併せて、2013年度補正予算で定められた「ロボット介護機器導入実証事業」の事務局を担当するテクノエイド協会が、同事業の申請受け付けを2014年3月中に始まる見通しであると説明した。

 2013年度は介護施設に向けた上記の4分野を重点分野として設定して開発補助を進めてきた。その成果として、今回は12事業者がロボット介護機器を展示した。装着型の移乗支援機器が1種類、非装着型の移乗支援機器が4種類、屋外移動支援機器が2種類、認知症の方の見守り機器が5種類である。2014年度は、在宅介護に向けた「移動支援」「認知症の方の見守り」「入浴支援」を重点分野とする(Tech-On!の関連記事)。

 これらのロボット介護機器は、ロボット介護機器開発・導入促進事業で2013年度までに構築した評価・検証手法に基づく「ステージゲート審査」に合格したものである。「これまでは、メーカーが開発した機器にどのような効果やリスクがあるのかが分からないため、介護施設などの利用者がどの機器を導入すべきかを判断できなかった。ロボット介護機器の評価手法を確立することにより、利用者に判断基準を与えられるようになった」(産業技術総合研究所 知能システム研究部門 ディペンダブルシステム研究グループ 主任研究員の中坊嘉宏氏)。

 ロボット介護機器の評価のために、本事業では(1)危害の起こりやすさと程度に基づくリスク見積もり手法などの基準策定評価手法、(2)介護者の動作を模擬して装着型機器の性能を評価するロボットや、介護施設および家庭の空間を用いた検証センターなどの評価用ツール、を開発した。

メーカー・仲介者・介護事業者のチームを募集

 2013年度補正予算で定められたロボット介護機器導入実証事業は、(a)ロボット介護機器を開発するメーカー、(b)レンタル業者や地方自治体などの仲介者、(c)介護施設などの介護事業者、の3者による導入実証を支援することで量産化への道筋をつけることを狙った事業である。(a)~(c)の3者が集まったチームに申請してもらい、認定されたチームには製品製造・設置費用の1/2または2/3と、講習・効果測定費用のすべてを補助する。これにより、導入効果の測定や改良すべき点の洗い出しを行い、メーカーによる量産化を促す。

 テクノエイド協会によると、ロボット介護機器を補助対象とするかどうかの審査と、導入実証を行うチームに対するチームを別々に行うという。補助対象機器の情報を随時更新することなどで、メーカー・仲介者・介護事業者のマッチングを図る。「申請の受け付けを2014年3月末に始めたい」(テクノエイド協会)とする。