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太陽光発電における規模別のシステム費用と運転維持費(出所:経済産業省)
太陽光発電における規模別のシステム費用と運転維持費(出所:経済産業省)
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 経済産業省は3月3日、調達価格等算定委員会を開催し、固定価格買取制度(FIT)における再生可能エネルギー由来電力の2014年度の買取価格算定に向け3回目の議論を行った。和田武委員(日本環境学会会長)から提案されていた、太陽光発電の買取価格に出力規模別に差を付けるか否かが議論となった。

 2013年度にける太陽光発電の買取価格では、出力規模に関わらず同一の買取価格を適用している。これに対し、和田委員は、「出力10~500kW未満の中規模太陽光については、500kW以上に比べて1kW当たりのシステム費用が割高になっている。こうした現状を加味し、中規模太陽光の買取価格を高めに設定すべきではないか」との提案が前回の委員会で出ていた。

 経産省は、この提案に対する資料として、中規模太陽光(10~500kW)のコスト構造を示す2013年の統計データを公開した。それによると、1kW当たりのシステム価格を出力規模別にみると、10~50kW未満が36.9万円、50~500kW未満が32.4万円、500kW~1MW未満が29.4万円、1MW以上が27.5万円だった。中規模太陽光が割高になっているが、この差は、狭まっているとの報告があった。

 一方で、1kW当たりの年間運転維持費用(中央値)をみると、10~50kW未満が0.1万円、50~500kW未満が0.5万円、500kW~1MW未満が0.7万円、1MW以上が0.9万円となっており、逆に中規模太陽光が割安になっているデータも示した。また、運転を開始した設備のIRR(内部収益率)6%未満の件数割合を集計したデータでは、0~50kW未満が22.4%、50~500kW未満が7.1%に留まっており、中小規模太陽光の多くが、事業採算性を維持していることが示された。こうしたデータを元に、経産省としては、2014年度も、同一価格を継続することの妥当性を示した。