図1●ジンコソーラーホールディング社の李仙徳 董事長(撮影:日経BP)
図1●ジンコソーラーホールディング社の李仙徳 董事長(撮影:日経BP)
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図2●ジンコソーラーホールディング社が主要スポンサーを務めている、スペインの強豪サッカーチーム「バレンシアCF」の指宿洋史選手が「太陽光親善大使」に就任(撮影:日経BP)
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図3●太陽光パネルごとのMPPTシステム「Smart Modules」の概要(撮影:日経BP)
図3●太陽光パネルごとのMPPTシステム「Smart Modules」の概要(撮影:日経BP)
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図4●太陽光パネルの不具合などに適切に対処できるとする(撮影:日経BP)
図4●太陽光パネルの不具合などに適切に対処できるとする(撮影:日経BP)
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図5●ホットスポットの発生を抑制(撮影:日経BP)
図5●ホットスポットの発生を抑制(撮影:日経BP)
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図6●主な利点(撮影:日経BP)
図6●主な利点(撮影:日経BP)
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 中国の太陽光パネルメーカーのジンコソーラーホールディング社は2月26日、記者会見を開いた。会見では、事業の概況のほか、双日グループの化成品会社である双日プラネットとの提携、保険会社である双日インシュアランスによる新たな太陽光発電に関する保険商品、新たに販売する太陽光パネルごとのMPPT(最大電力点追随制御)システムなどを発表した。

 ジンコソーラーホールディング社の2013年の太陽光パネルの出荷量は約2GWとなり、「世界第4位の太陽光パネルメーカーになった」(ジンコソーラーホールディング社の李仙徳 董事長)。2013年には、東京に事務所を開設し営業体制を強化したこともあり、同年の出荷量の約20%が日本向けになったという。

 同社の日本における拡販を支えてきたのが、双日プラネットだという。日本における太陽光パネルの販売を担っているほか、封止用のEVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)などを供給している。今回、ジンコソーラーホールディング社と双日プラネットは、日本における発電事業を共同で進めていくことで提携した。

 また、双日インシュアランスは、ジンコソーラーホールディング社、双日プラネットと共同で、太陽光発電に関する包括的な保険商品を開発した。詳細は明らかにしなかったが、建設時の人的被害や賠償責任、納期遅延、完成後の人的被害や賠償責任、災害時の補償、メーカー保証の消失といった多岐にわたるリスクに対応したものとする。

 メーカー保証の消失は、太陽光発電システムの関連メーカーの経営が破たんし、その事業が継承されなかったり、仮に継承されても引き継いだ企業が、太陽光パネルや関連機器の不具合に対応できない場合に生じる。こうした場合、発電事業者は保証を受けられない可能性がある。日本では、こうした理由から、海外メーカー製の太陽光パネルに対する不安が根強い。新開発した保険はこうしたリスクを補い、受注の拡大を狙うものである。

 ジンコソーラーホールディング社はさらに、太陽光パネルごとのMPPTシステム「Smart Modules」を発表した。MPPT制御は、太陽光パネルの出力に対して、電流と電圧を最適に制御し、最大の電力量(電力点)を維持する制御を指す。一般的にMPPTは、パワーコンディショナー(PCS)が担い、PCSごとの単位、または、「ストリング」と呼ばれる、直列に接続した十数枚単位の太陽光パネルごとの単位で制御する。

 これに対して、今回発表したシステムでは、太陽光パネルごとにMPPT用の端末を取り付けて実現する。太陽光パネル内で、太陽電池セルを直列に接続した回路ごとにMPPT制御するため、電流や電圧に異常が生じた回路に対しても、最適にMPPTでき、出力を最大化できるという。

 これによって、影がかかった太陽光パネルでも出力の低下を最小限に抑えられるほか、パネルの部材を焦がしてしまう「ホットスポット」と呼ばれる現象の抑制にも寄与するという。 太陽光発電には、天候や気温、日照などの影響を受けやすく不安定という課題があるが、MPPTの分散制御によって、太陽光発電システム全体の効率を向上しようという狙いである。

 ただし、太陽光パネルごとにMPPT用の端末を取り付けるため、その分、コストは高くなる。ジンコソーラーホールディング社は、発電量の増加とメンテナンスコストの減少によってコスト増分を回収できるとしている。主な用途は住宅用である。