東北大学は、村田製作所、情報通信研究機構(NICT)、千葉大学と共同で、デジタルテレビ放送の空き周波数帯域(ホワイトスペース)を空き状況に応じて動的に選んで無線通信するためのワンチップ可変SAW(表面弾性波)フィルターを「世界で初めて」(東北大学)開発(図1、図2)、無線機に実装して動作を確認した。高速化へのニーズが高いスマートフォンや携帯電話機でのホワイトスペースの利用に道を開くことになる。

 ホワイトスペースは、デジタルテレビ用に割り当てられた周波数帯域のうち実際には使われていない帯域を指す。日本ではデジタルテレビ用に240MHz(470M~710MHz)を6MHz幅の40チャネルとして割り当てているものの、使用していないチャネルが複数存在する。例えば仙台地域では6チャネルを使い、残りは空いているという。そこで限られた電波資源を有効活用すべく、空きチャネルをスマホなど他の用途に割り当てることが国際的に検討されている。IEEE 801.11af で仕様を策定中だ。

 ただし、スマホでホワイトスペースを活用するためには技術的な課題が残っている。ホワイトスペースの空きチャネルが地域や時間によって異なるため、端末側では利用チャネルを動的に選択する仕組みが必要になる。その核となるハードウエアが可変周波数フィルターだ。もちろん40チャネル分のフィルターをあらかじめ用意しておきスイッチで切りかえることも原理的には可能だが、小さな筐体に機能を盛り込んだスマホには使えない。コストもかさむ。

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