米Google社は、コンピュータービジョン技術のスマートフォンでの活用を推進するプロジェクト「Project Tango」を発表した。同社のAdvanced Technology and Projects(ATAP)グループが推進しているもので、「人が空間や動きを理解する能力をモバイル機器に与えることが目標」(ATAPグループでProject Tangoを率いるJohnny Lee氏)。
Project Tangoにおいて、Google社は5型のディスプレイを備えるスマートフォン型の試作機を開発した。機器の位置および向きを検知しつつ、周辺環境の3次元モデルを生成できるハードウエアとソフトウエアを備えたと説明する。Google社が公開した動画によれば、通常撮影用の400万画素のカメラに加えて、(1)動き検知用のカメラ、(2)距離画像センサー、(3)2倍の(処理性能を持つ)コンピュータービジョン用プロセッサー、を備えるという。
この試作機はAndroidが動作し、JavaやC/C++言語で書かれたAndroidのアプリケーションソフトウエアが位置、向き、距離のデータを取得するための開発用APIを実装している。ただしGoogle社は、「Project Tangoはモバイルプラットフォームで何ができるのかを模索することに集中したものだ。現在はAndroidの一部ではない」と説明している。
Google社は試作機を200台製造し、屋内ナビゲーションやマッピング、物理空間を使うゲーム、センサーデータを処理する新しいアルゴリズムなどの開発プロジェクトに割り当てた。「我々が考えたことがないアプリケーションのためにも残しておいた」(同社)とし、この試作機を使って新しいアプリケーションを生み出す開発者をProject TangoのWebサイトで募集し始めた。2014年3月14日までに試作機を配布する予定だ。