ゲーマーは約2億人


 2012年11月に発売された任天堂の据置型ゲーム機「Wii U」が予想よりも売れず、「ゲーム専用機は売れない」との論調もあった。一方で、PS4やXbox Oneの滑り出しは順調だ。つまり、Wii Uの不振は、ゲーム業界全体の問題を示しているのではなく、任天堂固有の問題なのだ。

 私の見立てでは、ゲーム機を購入してゲームを楽しむ人は、現在でも全世界で約2億人いる。確かに、一時期よりも少ない。かつて任天堂のWiiやニンテンドーDSが大ヒットし、ゲームをプレーする人が増えた。WiiやDSによって、ゲーム人口が 25~30%拡大し、2億5000万~3億人ほどに増えた。この伸張分がなくなり、元々の2億人に戻ったに過ぎない。

 PS4やXbox Oneの滑り出しは順調なのは、両機でしかプレーできないゲームがあるから、というわけではない。現在両機用に出てきるゲームソフトは、PS3やXbox 360でも提供されているものが多い。

 ある大手ゲームメーカーの幹部は、「新バージョンのWindowsが出れば、ユーザーはとりあえず購入する。だから新しいゲーム機が出れば、新しいという理由だけで購入する」と言っていた。特にゲーム機の製品サイクルは長い。少なくとも5年間は同じプラットフォームのままだ。実際、PS4もXbox Oneも、前モデルから6~7年ぶりの新型機になるので、待ちわびたユーザーはすぐに飛びつくことになる。

 加えて、「将来、PS4やXbox Oneでしかプレーできない面白いゲームが出てくるだろう」という期待感から、ユーザーは現時点から購入しているのだと思う。

 滑り出しが順調なPS4だが、1000万台を超えて2000万台に到達するにはやはりPS4の機能を活かした、ユニークなゲームが不可欠になるだろう。もし、2000万台に到達できれば、ゲームソフトメーカーがPS4だけにしか提供しない専用のゲームを開発することを真剣に考えるようになる。これがPS4の独自性を伸ばし、そのゲームをプレーしたい人が購入してさらに台数が増えるといった「正のスパイラル」が起きるはずだ。