Wii U用ゲームの刺激が足りない

 こうした課題があるものの、Wii Uは決して悪いゲーム機ではない。任天堂 取締役社長の岩田聡氏が述べているように、多くの消費者にハードウエアの特徴を理解してもらっていないことが、Wii U不振の大きな原因になっていると思う。ゲーム機の良さを伝えるには、プロモーションをしっかりと行うことと、ユニークな対応ゲームを作ることが不可欠だ。このうち、後者が問題だと考えている。

 これまでWii Uの不振は、人気の対応ゲームが予定よりも発売が遅れたことが原因とされてきた。だが、このソフト不足の状況は2012年夏以降、解消しており、比較的コンスタントに対応ゲームが出ている。

 2013年のクリスマス商戦は、任天堂が予想していたよりも、Wii Uの売れ行きはよくなかった。これはソフト不足なのではなく、対応ゲームがユーザーの購入意欲を刺激できなかったことに起因している。特に、任天堂が「Wii U本体の売れ行きを牽引するキラーゲーム」と考えていたゲームがそれほど売れなかった。厳密に言えば、コアゲーマーを引きつけるのには十分だが、カジュアルゲーマーを取り込むほどではなかった。

見方を変えると、コアゲーマー向けに彼らが望むゲームを売り続けていけば、Wiiほど売れないにしてもそれなりに売れるだろう。そうすれば、5000万台に達するゲーム機に成長する可能性がある。

任天堂はゲーム機を作り続けるべし

 現在Wii Uが不振なため、アナリストや報道機関の中には、「ゲーム専用機の時代は終わった。任天堂はゲーム機開発から撤退して、ゲームソフトの開発に集中し、スマートフォンを含めたさまざまな機器にゲームを展開した方がいい」という意見が散見される。

 この意見には反対だ。個人的には、任天堂はゲーム機を作り続けた方がいいと考えている。かつて、セガは「メガドライブ」や「セガサターン」、「ドリームキャスト」などのゲーム機を作っていたが、販売不振に陥って止めてしまった。このときも、「他のゲーム機にもセガのゲームを出せば、売上増を見込める」という期待が背景にあった。ところがふたを開けてみると、他のゲームに埋もれてしまい、期待したほどセガのゲームは売れなかった。「マリオ」や「ポケモン」といったゲームならば、他のゲーム機で発売しても埋もれることはないものの、それ以外の任天堂のゲームは他社のゲームに埋もれてしまい、任天堂のゲーム機に向けて売る場合と比べて販売本数はそれほど変わらないと思う。