ルネサス エレクトロニクスは、白物家電製品やヘルスケア機器のヒューマン・マシン・インターフェース(以下、HMI)に向けたマイコン開発キット「RL78/L1C Human Machine Interface Solution Kit」を発表した(ニュース・リリース)。機器ユーザーがタッチキーで入力し、セグメントLCD表示や音声再生で応答するHMIを、同社の16ビットマイコン「RL78/L1C」をベースに開発するケースを想定したキットである。

図1●今回の製品の評価ボード 右上の写真の黒いケースは電池用。ルネサスのスライド。
図1●今回の製品の評価ボード
右上の写真の黒いケースは電池用。ルネサスのスライド。
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 ICだけを販売しても半導体メーカーが期待したように使ってもらえないことがあるなどの理由で、そのICをベースにした機器やサブシステムを開発するためのキットを用意することはしばしば行われている。ルネサスでも開発キットを用意することはあったが、これまでは特定の顧客向けのものがほとんどだったという。

 そうした"カスタム"の開発キットに対して、今回の開発キットは多数の顧客が利用することを想定した汎用品である。「こうした汎用品の開発キットは、当社としては1~2例目」(同社)だという。今回の製品の中核は、RL78/L1C(Tech-On!関連記事)を搭載した評価ボードである(図1)。70mm×120mmの評価ボードにはマイコンのほかに、温度センサーや照度センサー、タッチキー、ハードキー、アンプ、スピーカー、セグメントLCD、LED、フラッシュメモリー、USB Micro-Bコネクタなどが載る。なお、タッチキーはルネサスとオムロンが共同で開発した直列容量分圧比較方式を採る(図2)。

デモプログラムを実装済み

図2●評価ボードのブロック図 ルネサスのスライド。
図2●評価ボードのブロック図
ルネサスのスライド。
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 今回の製品一つで、白物家電製品やヘルスケア機器のHMIに必要な機能を提供できるとする。「競合他社にもHMI向けの評価ボードはあるが、その多くはLCD表示だけとか、タッチキーと音声のみとか、一部の機能だけを実装している場合がほとんど。今回の開発キットはHMIを丸ごと実現している点でも、ほぼ初めてだと認識している」(ルネサス)。

 ハードウエアだけでなく、デモプログラムも実装されているので、すぐにHMIの評価が行える。例えば、タッチキーに触れれば、LCD表示が変わり、操作受付メッセージ/次動作案内メッセージなどが発せられる。なお音声再生には、アレックス(ホームページ)が開発した音声合成ミドルウエア「SODIAC」を適用していて、音声専用ICと同等な品質と話速変換を実現したとする。

 今回の製品の価格は3万5000円前後の予定で、2014年3月に販売を開始する。初年度販売目標は300台である。今回の製品には、回路図や部品表などの設計情報が付く。評価が終わり、顧客である機器メーカーなどがHMIのハードウエア開発を行う際のベースとして使える。なお、デモプログラムのソースコードなどのソフトウエアに関しては別途販売する予定である。ソースコードなどはソフトウエア開発のベースとして使える。