展示の様子。モニターの左半分に映っている二つのモジュールは2年前に開発した2モジュール型の疑似SoC(プロトタイプ)、モニターの右側に映っているのが2013年に開発した1モジュール型の疑似SoC。
展示の様子。モニターの左半分に映っている二つのモジュールは2年前に開発した2モジュール型の疑似SoC(プロトタイプ)、モニターの右側に映っているのが2013年に開発した1モジュール型の疑似SoC。
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生体センサーのメイン・モジュール。左が従来のもの、中央が2モジュール型の疑似SoCを搭載したもの、右が1モジュール型の疑似SoCを搭載したもの。疑似SoC(アナログ・フロントエンド部)は各メイン・モジュールの左下に搭載されている。
生体センサーのメイン・モジュール。左が従来のもの、中央が2モジュール型の疑似SoCを搭載したもの、右が1モジュール型の疑似SoCを搭載したもの。疑似SoC(アナログ・フロントエンド部)は各メイン・モジュールの左下に搭載されている。
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疑似SoCの紹介パネル。
疑似SoCの紹介パネル。
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 東芝は脈波や心電などをセンシングする生体センサーのモジュール面積を従来比1/4に縮小できる疑似SoC技術を、「nano tech 2014」(2014年1月29~31日、東京ビッグサイト)に出展した。小型・軽量化が求められるヘルスケア用のウエアラブル・デバイスなどに向ける。

 疑似SoCとは、市販のICや電子部品(コンデンサなど)を樹脂ウエハーに埋め込んで再配線を施し、モジュール化する技術。東芝はこの技術を同社のワイヤレス生体センサー・モジュール「Silmee(Smart healthcare Intelligent Monitor Engine & Ecosystem)」のアナログ・フロントエンド部に適用したことを発表済みである(関連記事)。

 今回展示したアナログ・フロントエンド部は、10個のICと60個の電子部品を疑似SoC技術によってモジュール化したもの。モジュールの面積を従来比1/4の約8mm×約7mmに縮小できた。モジュールの厚さは約1mmである。2013年8月に、東芝子会社の東芝ホクト電子が疑似SoCの量産技術を確立した(リリース)。2014年度中に量産ラインを構築し、量産を開始したい考え。

 なお、疑似SoC技術は東芝 研究開発センターが新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として実施した研究成果の一部を利用して開発、東芝ディーエムエスが設計を担当している。

 現状では、疑似SoCのコストは従来のモジュールに比べて高いが、市販のICや電子部品を組み合わせて小型のカスタム・モジュールを実現できるため、SoCを新規に開発する場合に比べると開発コストを大幅に削減できるという。ヘルスケア向けのデバイスは当初まとまった生産量が見込みにくく、多品種少量生産になる可能性が高い。このため、SoCを使わずに小型モジュールを実現できる疑似SoCが有利になるという。

 なお、現状では樹脂ウエハーは4インチ径のエポキシ樹脂製であり、再配線層にはポリイミド絶縁膜とCu系スパッタ膜(最上層はめっきの場合もある)を用いている。再配線層はリソグラフィーでパターン加工しており、線幅/線間隔は5μmである。なお、現状では疑似SoCの外部接続はワイヤ・ボンディングによって行っているが、2014年度上期にははんだバンプ接続に対応したテスト・サンプルを出したいとする。はんだバンプ接続に対応するためには、樹脂ウエハーの耐熱性や信頼性を高める必要があるという。