SoCなどを生産するルネサス山形の鶴岡工場。ソニーはここを積層CMOSセンサーの生産拠点に転換させる。
SoCなどを生産するルネサス山形の鶴岡工場。ソニーはここを積層CMOSセンサーの生産拠点に転換させる。
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ソニーのイメージセンサーの前工程工場
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 ソニーとルネサス エレクトロニクスは2014年1月29日、ルネサスの100%連結子会社であるルネサス山形セミコンダクタ(SYG)が保有する鶴岡工場(半導体前工程300mmウエハー生産ライン)の半導体製造施設および設備等を、ソニーの100%連結子会社であるソニーセミコンダクタ(SCK)に75億1000万円で譲渡すると発表した(リリース)。同日、資産譲渡契約を締結した。譲渡は、法令上必要な関係当局の承認および許可が得られれば、2014年3月31日に実施する予定である。

 今回の譲渡に伴い、ソニーは鶴岡工場の半導体関連資産を活用し、2014年3月31日にソニーセミコンダクタ 山形テクノロジーセンター(山形テック)を設立すると発表した(リリース)。現在、ルネサス山形の鶴岡工場には約680人の従業員がいるが、このうち80%は4月1日付けでソニーセミコンダクタ 山形テックに転籍になる。残り20%の従業員はルネサス山形に所属しつつ、別の工場などに移る予定。

 ソニーセミコンダクタ 山形テックは、CMOSイメージセンサーの新たな生産拠点として設立され、ソニーは、CMOSイメージセンサーの生産能力増強のために総額約350億円の設備投資を行う。その内訳は、(1)2013年度に実施予定の鶴岡工場の資産取得金額 約75億円、(2)2014~2015年度に実施予定の設備投資 約275億円である。これは、イメージセンサーの総生産能力を300mmウエハー換算で現在の約6万枚/月から約7万5000枚/月に増強する中長期的な施策の一環とする。

 (2)の設備投資は、ルネサス山形から取得予定の半導体製造設備の一部をCMOSイメージセンサーの製造設備に改造するため、および山形テックにおいてCMOSイメージセンサーの新規製造設備を増強するための投資である。山形テックでは、主に積層型CMOSイメージセンサーのフォトダイオードや配線などを製造する工程を担う。

 積層型CMOSイメージセンサーは、裏面照射型CMOSイメージセンサーの支持基板の代わりに信号処理回路が形成されたチップを用い、その上に裏面照射型の画素センサーを重ね合わせてTSV(Si貫通ビア)で接続した構造をとる(関連記事)。高画質化と高機能化、小型化を実現できるため、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器市場において、今後さらなる需要増が見込まれる。