JSRは、2014年3月期第3四半期(2013年10~12月)の決算を発表した。連結での売上高は前年同期比で2%増の993億100万円となったが、営業利益は同11%減の76億400万円にとどまった。半導体材料やFPD材料の利益は好調だったものの、自動車のタイヤ向けのエラストマーなどの利益が予想を下回った。

 これまで同社の第3四半期までの累計での利益は、予想にやや足りないレベルで推移している。第3四半期の状況は芳しくなかったが、「第4四半期の巻き返しを期待できる要素がある」(JSR 取締役執行役員の平野勇人氏)とし、2014年3月期通期での売上高4000億円、営業利益370億円、経常利益400億円、純利益265億円という予想は据え置いている。

部門ごとの明暗がハッキリ

 営業利益からみた今期の同社は、部門別の明暗がハッキリ分かれた格好だ。

 自動車のタイヤ向けのエラストマーや合成樹脂を扱う石油化学系の部門は、第3四半期までの営業利益の累計では、前年同期比でエラストマーが2%減の114億7300万円、合成樹脂が同19%増の27億4100万円に達した。しかし、第3四半期単独ではエラストマーが同25%減の29億600万円、合成樹脂が同11%減の8億6500万円にとどまった。これは、売値と在庫単価の逆転現象による製品評価損など営業費用の増加が足を引っ張ったのに加え、合成ゴムの需要回復が遅れ、思ったほど伸びなかったことが影響している。ただし、「第4四半期はタイヤ向けと自動車向けの需要が回復し、エラストマー事業は拡大する見込み」(平野氏)としている。