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エルピーダを買収したMicron、「先端メモリの開発には日本人技術者の力が欠かせない」

木村 雅秀=日経BP半導体リサーチ
2014/01/22 10:00
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Micron Technology社 Chief Executive OfficerのMark Durcan氏(左)と、エルピーダメモリ 管財人 代表取締役社長の木下嘉隆氏(右)。
Micron Technology社 Chief Executive OfficerのMark Durcan氏(左)と、エルピーダメモリ 管財人 代表取締役社長の木下嘉隆氏(右)。
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 エルピーダメモリの買収によって、2013年の世界半導体市場シェアで第4位に浮上する米Micron Technology社。エルピーダメモリとの経営統合の進捗や、今後の技術戦略などについて、同社 Chief Executive OfficerのMark Durcan氏に聞いた。

――エルピーダメモリとの経営統合の進捗状況について教えてほしい。
 経営統合は順調に進んでいる。技術開発チーム、製造チームともに良い協業体制を構築できた。エルピーダの広島工場とMicron Memory Taiwan(MMT、旧台湾Rexchip Electronics社)での25nm技術の量産立ち上げや、広島工場における20nm技術の開発も順調だ。マーケティングや設計、製品エンジニアリング部門も緊密に連携しており、チーム・メンバーの士気は高い。現在は営業やサプライチェーンに関する情報システムの統合作業を進めており、今後1~2カ月で完了する見通しである。その段階でエルピーダとMicronは完全に一つの会社になる。

――エルピーダの社名はどうなるのか。
 我々は全世界で一つの会社になることを目指している。このため、情報システムを統合した段階でエルピーダは「マイクロンメモリ ジャパン(Micron Memory Japan)」という名称に変わる。

――マイクロンメモリ ジャパン(エルピーダ)はMicron社の中でどのような役割を担うのか。
 まず、広島の拠点では引き続き現在の技術開発チームが先端DRAMの開発および初期の生産立ち上げを担当する。製造するのは、モバイルおよびグラフィックスDRAM、コンピューティング向けDRAMだ。秋田の拠点では先端のパッケージングおよびテスティングを行う。これにはTSV(Si貫通ビア)への対応も含まれる。今後、パッケージング技術はモバイル機器だけではなく、高性能のメモリ・システムにおいても極めて重要になるだろう。東京および神奈川(橋本)の拠点はMicron社と一体化し、マーケティングやエンジニアリング、営業を担当する。

――世界の他の製造拠点はどのような位置付けになるのか。
 台湾のMicron Memory Taiwan(旧Rexchip社)は主にコンピューティング向けDRAMを生産するが、柔軟性を持たせることでモバイルDRAMも生産できるようにする。台湾Nanya Technology社との合弁会社である台湾Inotera Memories社では、様々な種類の差異化されたDRAMを生産する。米国ユタ州のリーハイ工場では先端のNANDフラッシュ・メモリを製造するほか、米国バージニア州の工場ではレガシーNANDやスペシャルティーDRAMを生産する。米国アイダホ州ボイジーのR&Dファブでは新型不揮発性メモリや新メモリ、ユニット・プロセスの開発を担当する。シンガポールにある二つの300mm工場では、いずれもNANDフラッシュの生産を行う。シンガポールの200mm工場で生産するのはNORフラッシュだ。伊仏STMicroelectronics社との合弁であるイタリアのアグラテ工場ではエマージング・メモリの開発や相変化メモリ(PCM)の生産を行う。

――新型不揮発性メモリの開発はエルピーダでも行っていたが、それはボイジーに統合されるのか。
 設計やデバイス開発の一部は広島に残るが、プロセス開発は研究機関と共同で進めるか、またはボイジーに集約する方向だ。すでにMicron社の多くの技術者が世界中から広島に異動したり、逆に広島の技術者がボイジーに移ったりしている。例えば、エルピーダのR&Dトップは現在、ボイジーに駐在している。こうした技術者の交流によって、互いに学べる機会が得られると考えている。

――エルピーダの社員を整理・削減する計画はあるのか。
 ない。日本の技術チームは非常に強力だからだ。経営統合によってMicron社の事業規模は拡大するわけだが、それに見合うだけの先端製品の開発を可能にするためには、日本の技術者の力が必要になる。また、もともとエルピーダは間接費の少ないリーンな経営体質だった。従って、ここからさらに切り詰めるのは逆に非建設的だと考えている。

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