送信アンテナの様子(写真:NHK)
送信アンテナの様子(写真:NHK)
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受信アンテナや受信した8K映像の様子(写真:NHK)
受信アンテナや受信した8K映像の様子(写真:NHK)
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送信側システムの仕様
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受信側システムの仕様
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 日本放送協会(NHK)は2014年1月20日、同社が「スーパーハイビジョン」と呼ぶ解像度が8K×4Kの映像信号(8K映像)をUHF帯1チャネル分の電波を用いて27km送受信することに成功したと発表した。8K映像の地上波での放送に向けた実験で、伝送チャネルを従来のUHF帯2チャネルから1チャネルに減らした一方で、伝送距離は従来の4.2kmから大幅に伸ばした。

 今回は、8K映像をUHF帯の5.57MHz幅のチャネル1チャネルを用いて熊本県人吉市のNHKの実験局から送信し、27km離れた同県球磨郡湯前町の農村環境改善センターで良好に受信できることを確認したとする。27kmは、「地上デジタル放送のエリア(の半径)と同程度」(NHK)という。

 8K映像は、既存の動画符号化方式のH.264で圧縮し、伝送容量は91.8Mビット/秒である。変調方式などは、OFDM+4096QAM、偏波MIMO、LDPC符号の組み合わせで従来とほぼ同様である。送信出力は従来の1Wから10Wへと大きく増やした。

 総務省や次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)は8K映像のテレビ放送を2016年に開始する準備を進めている。ただし、現時点では衛星放送またはケーブルテレビなど有線を利用した放送での計画で、地上波での実現時期は具体化していない。