鳥取県米子市で建設中の42.9MWのメガソーラー(出所:日経BP)
鳥取県米子市で建設中の42.9MWのメガソーラー(出所:日経BP)
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 2014年のメガソーラー(大規模太陽光発電所)ビジネスは、「金融スキーム」「監視システム」「エネルギー地産地消」の3つのキーワードが新たな潮流として挙げられそうだ。 

 2014年は、出力規模の大きなメガソーラー(大規模太陽光発電所)の稼働が相次ぐ。2013年12月現在、国内最大規模のメガソーラーは、鹿児島市の「鹿児島七つ島メガソーラー発電所」の約70MW、2番目が大分市の「日揮みらいソーラー」の26.5MW。だが、2014年2月に鳥取県米子市に「ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク」(42.9MW)が稼働して、日揮みらいソーラーを抜いて2番目となるのに続き、4月には、大分市に「大分ソーラーパワー」(81.5MW)が稼働し、この時点で国内最大模に躍り出る。さらに、2015年になると北海道や青森県に100MWを超えるメガソーラーの稼働が開始する。

 こうした数十から百MWクラスのメガソーラーの多くが、遊休地となっていた工業用地を活用したもの。工業用地は、すでに造成されており、特別高圧送電線も近いなど、メガソーラー適地としての条件が揃っている。巨大なメガソーラーの竣工式が華々しく開かれる一方で、新規の開発案件は、こうした適地は減っている。2014年以降は、固定価格買取制度(FIT)の買取価格が下がる一方、kW当たりの建設コストが相対的に高い、出力規模の小さなメガソーラーの開発が主体になる。その結果、太陽光発電システムのさらなる低価格圧力が強まる。プロジェクトIRR(内部収益率)の低下とともに、海外製の太陽光パネルや周辺設備の採用が増え、相対的にメガソーラーの事業リスクが高まることになる。

 これまでメガソーラーの建設資金の担い手は、資金力のある有力企業のほか、プロジェクトファイナンスを通じた金融機関だった。メガバンクに加え、有力な地方銀行も、プロジェクトファイナンスに乗り出してきた。だが、メガソーラーの事業リスクが高まるにつれ、建設資金の担い手は、プロジェクトファイナンス部分の証券化、ファンド(基金)など「金融スキーム」を通じた一般投資家、一般市民に移っていくことが予想される。並行して、技術的には、事業リスクの高まったメガソーラーのリスクをいち早く発見し、対応するためのきめ細かな「監視システム」の必要性が高まり、その低価格への期待が高まる。すでに太陽光パネルの直流回路(ストリング)ごとの監視システムの導入が増え始め、パネルごとの監視システムを設置した国内メガソーラーも登場した。

 メガソーラーのもう1つの視点は、多くの地方自治体が標榜する「エネルギーの地産地消」とメガソーラーとの融合である。群馬県中之条市が地域新電力を設立し、町営のメガソーラー電力の販売を計画したり、おひさまエネルギーファンド(長野県飯田市)がメガソーラーの建設に乗り出したりする動きが、他地域にも広がる可能性がある。ただ、出力変動のあるメガソーラーを小売りするには、電力需給の同時同量を達成する必要がある。そこで、地域新電力と連携してメガソーラーを含めた電力需給の同時同量をサポートするサービスや企業間連携が登場している。一方米国など海外では、メガソーラーを35~40年間、利用することを前提に、電気代削減を目的に自家消費で導入する動きも目立つ。国内電力システム改革の行方とFIT後を睨み、新たなビジネスモデルを探る動きが出てきそうだ。