大阪府大高専のブース
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 大阪府立大学工業高等専門学校は、燃料電池を搭載する鉄道模型車両を実演展示した。同校は、電化区間では電解装置により水素を生成・貯蔵しながら走行し、非電化区間では貯蔵した水素を用いて燃料電池で発電し走行する燃料電池電車のシステムを提案している。前回は、初めて水素製造用の電解装置を鉄道模型に搭載し、燃料電池の発電による鉄道模型の走行を成功させたが、システムとして動いたのは数時間程度と短寿命だった。今回は、電解装置の大幅な性能改善を図るとともに燃料電池を改良し、長時間にわたって安定して走行する様子を見せた。

香川高専のブース
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 香川高等専門学校は、高感度呼吸モニターなどについて発表した。睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングを簡単に正確に行うことを目指したものである。また、睡眠時無呼吸症候群の患者の呼吸を正確に測定することで、居眠りを検出できる可能性があるという。同校が開発した高感度呼吸計測センサーは、呼吸だけでなく心拍信号も同時に測定できる。装着者の健康状態の把握にも応用できる可能性があるという。

熊本高専のブース
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 熊本高等専門学校は、サッカーや野球のフィールドにラインを引くロボットを展示した。カメラを用いた移動ロボットの制御(視覚サーボ)技術を応用している。フィールドの四隅に目印としてカラーコーンを設置し、ロボットのカメラに映った目印を基にロボット自身の位置を推定して制御する。位置を基に制御するため、サッカー場や野球場のラインに限らず、任意のラインを引くことができる。展示ブースではデモ機を用いて実演した。

高知高専の展示
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 高知工業高等専門学校は、半導体検出器を用いた簡易放射線検出器の開発に関する研究について発表した。同校は、比較的安価で、しかも誰でも簡易に放射線を計測できる放射線検出器の開発を目指している。そこで、放射線検出器の検出部に、半導体検出器であるPINフォトダイオードを採用した。半導体検出器は、気体電離箱に比べて検出部を比較的小型にできるうえに、シンチレーション検出器に比べて低価格で、容易に利用しやすいという。このような半導体検出器の特徴を生かした放射線検出器を、同校は開発している。また、放射線量の計測結果を簡易に示す方法として、放射線量をカウントする方法や、放射線量がしきい値を超えたときに警告するようなシステムについて検討している。

水戸第二高校のブース
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 水戸第二高校は、(1)家庭用風力発電機の研究や、(2)実験室でのオーロラ発光について発表した。(1)家庭用風力発電機の研究は、家庭での発電システムの主流である太陽電池の課題に関心を持った学生が、それを補うシステムを試作しようと考えて、始めたものである。高価で夜間は発電しないという太陽電池の短所を補うためには、安価で夜間も発電できる風力発電と併用するのが効率的と考え、その研究・試作に取り組んでいる。研究に当たり、マイコンを使って電圧計を自作した。(2)実験室でのオーロラ発光の研究では、地磁気の作用やプラズマ、真空度など課題は多いが、できるだけ本物に近づけるように実験を繰り返している。

 なお、「The高専@SEMICON Japan」の舞台である「セミコン・ジャパン」は2014年、開催場所を幕張メッセから東京ビッグサイトに移す。The高専@SEMICON Japanも、2014年は東京ビッグサイトで開催する予定である。